本日の新聞をみましたら、今年の大佛次郎賞に最相葉月「星新一」が選ばれたと
ありました。この本は、ずいぶんと評判が高いようであちこちでとりあげられて
います。
小谷野敦さんかのページをみていましたら、この作品のように他の賞を受けている
ものは、その時点でノミネートから外して、多くの作品が受けられるようにするべき
ではないかとあり、この作品の主人公である「星新一」などは、ほとんど賞に縁が
なかったことを問題にすべきとありました。文学賞などは、選者とかスポンサーの
文学政治に左右されるように思うのでした。
「本の雑誌」連載の「日本SF戦後出版史」では「星新一さんと直木賞」についてが
とりあげられていました。
「 ショートショート6編が60年度下半期 第44回直木賞候補にあがる。
61年1月23日に開かれた選考委員会では歯牙にもかけられなかったようで、
『オール読物』4月特大号にのった選評では、源氏鶏太が、『星新一氏のショート
ショートは実に面白い。しかし文学的な面白さとは思われなかったなんて言い訳
めいた感想を文末で書いているのみ。・・・
候補にのぼったことが機縁で、星さんの初の作品集『人造人間』が二月下旬、
新潮社から出版される。・・
フレッシュでスマートな星さんのショートショート作品集を宇宙時代の知的な
読書人は、心待ちにしていたのだ。」 ( この「人造人間」61年の装幀は
六浦光雄さん)
最近に入手した「和田誠 装幀の本」(リブロ・ポート刊)には、和田さんが担当
した「星新一」さんの本が掲載されているとともに、次のようなコメントがついて
います。
「 学生時代から星新一さんのショートショートのファンなので、星さんの本の
挿絵や装幀の仕事ができるのは大いなるよろこびであった。最近は小泉今日子ちゃんや
荻野目洋子ちゃんに『星新一さんの本の絵で和田さんの名前を知りました』といわれる。
星さんは白地の装幀がお好きなのだそうだ。ぼくの装幀に白地が多いのは駆け出し
時代からつき合っていただいた星さんの影響かも知れない。」
和田さんの「装幀の本」をみると星新一さんをはじめ、広瀬正さん、豊田有恒さん、
小峰元さん、阿刀田高さんなどSF、ショートショートの作家の本がたくさんでて
きます。和田さんが、こうした作品世界を好んでいるからでありましょうが、
和田さんのようなひとのことさして「宇宙時代の知的な読書人」というのでありま
しょうか。