本日の本

 ここ数日は、東山彰良さんの「流」を読んでおりました。

流

 今週の月曜日に従兄弟から借りた本でありました。すぐに読み上げていれば、最新
直木賞受賞作読了となったのですが、もたもたとしているうちに、下期の直木賞
発表となってしまい、最新の受賞作ではなくなりました。
 東山さんの作品が受賞したときには、委員全員がおしたということで、たいへん話
題となりました。これはどんな作品であるのかと、ふだんこのような小説になじみの
ない当方まで、機会があれば読んでみたいと思っていました。
 直木賞の受賞作を読んだのは、いつ以来であろうかと思います。受賞したから随分
とたってから読んだものはあるのかもしれませんが、受賞からまもなくというのは、
ひょっとすると1998年上半期の車谷長吉赤目四十八瀧心中未遂」以来のことかなと
思います。
 当方は、この作品がどのようなものかわからずに読んでいましたので、これは台湾
の下町アウトローものなのかなと思っていました。そんなふうに感じながら読み進み
ますと、主人公は自分の道をいくようになるのですが、これで作品は収拾がつくのだ
ろうかと思って不安に思ったころに、やっとさですこし見えてくるようになります。
 ミステリータッチの小説ですが、事件とかの犯人さがしとか、犯人追跡ということ
で読み手を、最後まで引っ張っていくものではありませんので、けっこう読んでいて
とまどってしまうかもしれません。
 最後まで読んで、本をおいたときに、この作品は主人公の内面の成長をテーマとし
た「教養小説」であるのだなと思いました。