「ヘラヘラ・マガジン」

 11月19日のブログで、ネット古本やさんに注文をしたと記した岩田健三郎さんの
「ヘラヘラ・マガジン」冬樹社 84年刊が、手元に届きました。
 その昔に図書館から借りて読んだことがありましたので、そのときのことを思い
だして、そうそうこの本と声があがりました。
 とにかく、一冊まるごと手書き文字とイラストでできているこの本は、めったに
ないものでありまして、この種の本が、このあとも続々とでているなんてことは
ないでしょう。
 この本には帯に「谷川俊太郎」さんの推薦文がのっていまして、そこだけが活字を
つかっているのですが、その推薦文には次のようにあります。
「 話し声がする、泣き声や笑い声、怒声もとぶ、いびきとおならの音もきこえる、
 コーヒーの匂い、おかずの匂い、砂埃、チリアクタの匂いも立ち昇る。
  この本をのぞきこむと、いろんな男や女や子どもやじじばばが生きているのが
 見える、彼等の息が首筋にふれてくる そんな本はざらにあるもんじゃない。」
 
 とにかく、奥付から冬樹社の出版案内のようなものまで、すべてが手書きであり
ます。このときにのっている出版物は「夢の隣」長谷川集平著でありまして、
この時代の冬樹社は、実にユニークな出版物をだしていたことです。
どちらが親会社であったか忘れましたが、たしかここは「スキージャーナル社」と
関係があった。会社としてのなじみは冬樹社が上ですが、会社の経営内容としては、
スキージャーナル社のほうが上でしたろうか。
 冬樹社といえば「山川方夫全集」をだしていましたし、雑誌「カイエ」もだして
いました。岩田健三郎さんの「ヘラヘラマガジン」は、そうした路線からすれば、
ちょっと寄り道したというか、道草路線であったかもしれません。