一年の計は

 年の初めは、新聞に掲載となる出版社の広告を話題とすることにしています。
今年は何が目によかったでしょうか。当方が手にしたのは朝日新聞のみでありますが、
出版社で全面広告をだしているのは、数研出版集英社小学館講談社岩波書店
五社となります。その他、新潮社、文藝春秋社、光文社などは紙面の三分の一でした。
 当方は、今年の新企画などが発表される広告に期待するのですが、そうしたものでの
一番は集英社でしょうか。
 今年の企画として、「冒険の森へ 傑作小説大全 全20巻」の広告がありました。
今年5月から刊行を開始する企画ですが、「読書の冒険に誘う、新しい物語大全が誕生
します。」とありました。この時代にあって、相当に思いきったことです。当方は買う
ことはないと思うのですが、こういう企画は応援をしたくなります。広告でモデルと
して本を手にしているのは國村隼さんですので、どちらかというと少し年齢の高い男性
をターゲットとしているようです。こうした企画が売れてほしいなと思います。
 講談社の広告は、「その言葉から、物語がはじまる。」ということで、全面をつかっ
て、ここにあるふきだしのなかに皆さんの抱負をいれてくださいというものでした。
ふきだしでありますからして、コミックを連想させるものですが、物語といって小説を
思い出す人は少数派となっているでしょう。
 微妙なのは岩波書店でありますね。戦後70年ということで、「『戦』の『後』であり
続けるために」という見出しになっています。
 ジョン・W・ダワーさんと大江健三郎さんの文章が掲載されています。どちらも、
「『戦後』の精神を次世代につないでいく」というものですが、大江健三郎さんの文章
は「次世代」の人にアピールするだろうかなと思いました。
大江さんの文章は、渡辺一夫さんの岩波新書「イタリアルネサンス断章」を手にした
高校時代のことから、その本のことを話題とするのですが、「断章」のところを最初に
手にした本の表記にしたがって旧字としているのですが、それって意味があるのかな。
自分が最初に手にした本の表記(または師である渡辺一夫さんへのオマージュ)にこだ
わりがあるのはわかりますが、それは「次世代」の人にどううつるでありましょう。