「ちくま日本文学」

渡辺一夫 (ちくま日本文学全集)

渡辺一夫 (ちくま日本文学全集)

 筑摩の日本文学全集には、いくつかの種類があるのですが、筑摩の
ドル箱のような企画があれば、苦し紛れに刊行して、結果として倒産の
引き金となったのも文学全集でありました。
 倒産してからは、本格的な日本文学全集はだしていないはずですが、
それまでとはまったく違う、コンパクトで入門編のような文庫サイズの
ちくま日本文学全集」全60巻を、93年に刊行しました。
安野光雅のカバーで、当時としてはこの内容で千円というのは、破格に
安いのではないかと感じたものです。その割に、買いそろえてはいないの
ですが、おきにいりの作家 長谷川四郎さんとか、渡辺一夫さんのものは、
売れ残っているのをみるたびに購入したりしていますので、手元に何冊か
残っているのでしょう。
 11月にちくまから文庫版「ちくま日本文学」全30巻が刊行され
ます。これはかってでていた「ちくま日本文学全集」を文庫シリーズに
衣替えしたものですが、巻数が半分となっていたりしたことで、小生
なじみの長谷川四郎渡辺一夫さんのものなどが、今回のリストから
除外されました。
 残念なので、かっての「ちくま日本文学全集」の雰囲気を伝える
渡辺一夫集の表紙写真をはりつけておきました。この版は、発売いらい
14年もたつというのに、いまだに不良在庫のように売れ残っている
本を見いだすのが、楽しみであります。この本を、新本として扱って
いる本屋というのは、よほど懐が深いと感じるのでした。