ブックオフの高額商品

マロニエの花が言った〈上巻〉

マロニエの花が言った〈上巻〉

 このまちのブックオフでは百円の棚を中心にあさっているのですが、
あまり購入することはないものの、半額棚もチェックはしているのです。
通常は、半額棚にあるのを確認して、これが百円棚におちてきたら、その
時に一網打尽だと手ぐすねをひいているのです。ねらいどおりで、百円で
確保できたものには須賀敦子さんの著作ばっかし5冊くらいあったことが
ありました。半額棚にあったときは、この本を通じて、須賀さんの本との
幸せな出会いがありますようにと思って見守っていたのですが、結局だれ
からも声がかからずに、百円となりますと、お気の毒ではありますが、
ほかの人にはわたさないぞと、すべて小生が確保することになったので
あります。
 先日に棚を見ていましたら、池内紀さんのみすずからでている仕事場
なんていうシリーズがならんでいましたが、これも百円となるのか、
それとも、どこかのせどりさんがかっさらっていくのか、予断を許さない
ことであります。
 すこし迷ったあげくに小生が購入した高額商品は、清岡卓行の「マロニエ
花が言った。」上下であります。99年に刊行されたものですが、新刊の時に
店頭で手にしたものの、手が出なかった。そのうちに確保しなくてはと
思っているうちに本屋では、よほど大きなところでなくては眼にすることが
なくなっていましたし、ネット古本屋でもけっこう買いにくい値段でのって
いました。
 清岡さんがなくなってから、遺作となった感のあるこの作品は是非とも
おさえておかなくてはと思ったのです。
小生は、清岡さんの作品では「詩禮伝家」という作品が、大変好きでありま
した。この作品には、清岡さんの若い奥さんとのことがでてくるのですが、
その詩を書いていた若い奥さんが、そのごに「岩阪恵子」さんとして知られる
ようになったのでした。
 清岡さんがなくなってから、岩阪さんは清岡さんは、最初は先生で、
次は夫で、最後はこどもにかえりましたといっていました。
99年に、この作品を発表してから、そのあとにどのような作品を発表して
いるかはしりませんが、ほとんど、この作品で力を使い果たしたという感じでは
ないでしょうか。
 この本の帯には、清岡さんのことばとして次のものがひかれています。

「 二十世紀において 
  最も魅惑的な文学芸術の空間はどこにあったのか。
  その答えはいろいろわかれるだろうが、
  それは二つの世界大戦のあいだのパリではないか、
  といった思いを抱くひとが多いだろう。
  わたしもその一人である。 」