戦争の世紀

 1900年代というのは、世界規模での戦争が行われた初めての世紀で
あるようです。1920年代半ばまでにうまれた日本の男性は、すべてが
徴兵という制度に縛られていたのですが、もちろん、そのあとは出征する
ことになるのです。この時代に生をうけた男性のほとんどが、入隊、従軍、
または訓練についての体験をして、それについての記録を残しているので
あります。
 こうした体験をしていないのは、非国民と呼ばれることを覚悟するほど
大変なことでありましょう。
 戦前に共産党の活動かとなって、逮捕され、その後画廊を経営しながら
絵画についての批評とエッセイのまじりあった文章をかいた「きまぐれ
美術館」主である「洲之内徹」さんですら、戦争について感じたことを
文章にしなくては、いけなかったようです。「きまぐれ美術館」のシリーズ
には、洲之内さんによって、当時の戦時下時代が人々の思いが綴られて
いるのでした。
「 否応なく戦場にいかなければならなたった人間が死に直面したとき、
たとえ彼らが愛国心の持ち主でもなく、国体論を信じていなくとも、
自分は国家のために生命を棄てるのだと思うことで、理不尽な死を自分に
納得させようとしたのではなかったか、また彼らの親とかつまとかは、
彼らがお国のために死んだのだ、自分たちのために死んでくれたのだと
考えて、息子や夫の死を自分になっとくさせたかったという・・」