不寛容な社会

 各社のPR雑誌は、たいていが月初めに届くのですが、それよりもちょっと
早くに届くのが「本の話」であります。この雑誌は、創刊以来購読している
ように思うのですが、最近は、ちょっぴり物足りなさを感じているのです。
 そのむかしは、丸谷才一「思考のレッスン」とか、村上春樹「現代小説講座」が
連載されて、次号が待ち遠しく思った物です。
 今は、小林信彦黒沢明という時代」が連載されているではないかといわれ
そうですが、もうひとつなにか別なものであってもいいのでしょうよ。
( 「早川龍雄氏の華麗な映画宣伝術」なんてのもあるけどね。)
もともと、文春の出版物とのつきあいが薄いからかもしれませんが。
 文春9月の新刊で、一番眼を惹いたのは、四方田犬彦「人間を守る読書」と
いう文春新書のものです。文春新書は、このまちではなかなか確保が困難な
ものですが、四方田が「古典からサブカルチヤーまで約160冊の書物を紹介」と
ありますので、これは楽しみであります。(最新の書評集であるようです。)
この本についての四方田の言葉として次の言葉が紹介されていました。
「いまの日本は他人に対して非常に不寛容な社会になってきているように思います。
こういうときだからこそ書物を読まなければいけない。凡庸にして古くさいように
聞こえますが、書物に書かれた他人の声に耳を傾けるという行為こそが、今必要と
されているのではないでしょうか?」
 最近の日本が他人に対して非常に不寛容というところに反応をしました。
これは、小生の日々の生活で感じているのでした。こうした不毛なルーチンから
脱するに読書は有用であると思いたいことです。