「ミニチュア庭園鉄道」

 NHK教育テレビ趣味の園芸」40年特集をみていましたら、北海道のオープン
ガーデンを特集していました。新聞のテレビ欄の記載によりますと「北海道花園を
作った人々」となり、「香りただようラベンダー畑」とか「丘一面の芝桜」「野花
ゆれる夢庭」となるのでした。
 北海道のスケールでありますから、とてつもなくスケールの大きなものがあったり
するのですが、そうしたものも、最初は一人の人によってつくり始められたという
のが感動を呼ぶのでありました。東藻琴という北海道でも東のはずれのほうにある
まちは、やまの斜面の一面が芝桜で彩られることで有名でありますが、これは現在
89歳となるおじいさんが、30年ほどまえに、なにか名所になるようなものを
考えてもらえないかといわれてこつこつと始めたものなのだそうです。ある程度に
なるまで8年もかかったといいます。いちめんの芝桜というのは、一年のうちでも
せいぜいが一月くらいのことでしょうが、それにしても、ここまで徹底すれば
すごいことであります。
 猫の額ほどの庭しかなければ、このようなスケールの大きな話にはなりませんが、
それでも工夫次第では、相当に楽しめるというのが、庭造りというか、ガーデニング
ありましょう。
 先日に古本「半額堂」で百円で購入した「ミニチュア庭園鉄道森博嗣著は、
中公新書ラクレというのシリーズの一冊でオールカラーの写真たっぷりのものです。
 このかたは、小生は名前は知っておりますが、作品をまったく読んでおりませんで、
国立大学の教師をしているとか、そのほかにも多趣味であるということをかすかに
知っていただけです。
 今回、はじめてこのかたの著作を手にすることになったのですが、この新書の帯には、
「ついに自宅で私鉄を開業!」とあり、興味をもちました。鉄道マニアといっても、
模型を自宅に展開するかたがいれば、庭に線路を敷いて、その上をはしらせるという
ことを企む人もいるのですが、どっちがすごいかというと、なんとなく庭に鉄道という
ほうがお金もかかるし、すごいような気がします。(ほんとうのところは、どっちが
金がかかるかはわかりません。)
 オープンガーデンというのであれば、すこしは入園料などを徴することもできるの
かもしれませんが、庭園鉄道ということでは、ほとんどその可能性もないでしょう。
「 すべてを自分で作りたいと考えていたけれど、仕事の合間にそんな時間はない。
ただでさえ不器用で作るのが遅い。・・・
 そうなると自分の得意な分野でバイトをして、それで得た資金によって、工作が
大変なものを購入したほうが効率が良いのではないか。効率を持ち出すことはきわめて
下品であるが、生きている間にある程度の体験はしてみたい。背に腹は替えられない。
 というわけで、模型を購入する資金を調達するために小説を書き始めた。37歳の
時である。」
 稀覯書を購入するのが目的で小説などを書くなんてひともいるのですが、模型を
購入する資金を得るために小説を書くなんて、言えるのもすごいこと。