旅のふり返り

 今回の乗り鉄旅は、我が家から新得駅へとでまして、そこから新得駅へと一筆

書きで戻ってくるループとなりました。鉄道旅とか北海道の土地に関心のない人に

は、なにがなにやらでありますが、太平洋からオホーツク海へとまわって来たこと

になります。

 基本的には非電化区間でありまして、古いディーゼル車を楽しむことになりで、

たまには新しいディーゼル車もありますが、それが空いていて、古い旧国鉄時代の

ディーゼル車が混んでいたりです。天井で首を振りながらまわっている扇風機には

JNRと表示がありました。

 北海道の地方路線はレトロの宝庫でありまして、ループの最後にのったディーゼ

ル車もなつかしい車両でした。あわてて写したのでピンぼけがなさけないが、根室

線の途中でバス代行にかわる東鹿越駅での車両です。

 旅の途中で立ち寄った釧路の古本屋さんで購入した文庫が、旅行の友になりまし

た。今回の鉄道旅の話を家族にしましたら、それじゃ本が読めるねといわれたの

ですが、そのときは、窓の外の景色を見るのが楽しくて、それどこじゃないよと

返したのですが、さすがに山の中のトンネルが続くところは風景が単調で、本でも

読もうかとなります。

 その時の持参したものではなく、購入した文庫を手にして楽しみました。

それは金井美恵子さんでも、古山高麗雄さんでもなく、車谷弘さんでした。(いず

れも中公文庫)

 車谷弘さんの「銀座の柳」は、古い編集者が書かれた本ということで、ちょっと

話題になっていたものですが、名前は知っていたけど、旅先で出会うとはです。

こういのは縁でありますので、すぐに購入することにです。

 車谷弘さんは、家業である薬種業を継ぐために好きでもない薬科大学に進学し、

なんとか好きな文学にかかわる仕事に付きたいと思っていたところ、ひょんなこ

とから文藝春秋社に採用されたという経歴で、その後は編集者として役員にもな

るのですが、自らは編集の傍ら装丁をこなし、俳句を嗜んで、それでの文人たち

との交流がありましたです。

 これを読んでいたら、これは当方の友人で、仕事をやめてから俳句を始めたの

に送ったら喜ばれるのではと思いました。

 地方線の乗り換えというと、運転本数が少ないこともあって、かなりの待ち時間

が発生します。昨日には3時間ほどもありまして、はてどうしようかと思ったので

すが、そうしたときには文化施設へといくことにです。図書館、美術館、博物館と

なりますが、昨日には駅から歩いて20分ほどのところにある美術館を訪ねてみま

した。

 この美術館では、ちょうど「北斎展」をやっていまして、これを見ることにです。

これまで機会がありそうでなかった北斎の「富嶽三十六景」とか、「東海道」を

描いた作品など、楽しむことにです。

 画集などで目にする「富嶽」は色鮮でありますが、江戸時代のオリジナルは、ど

うしても退色しています。それのほうが現実の色でありますね。しかしそれにして

も、江戸時代にこれはすごいことです。

 ということで、乗って楽しく、食べて美味しく、読んで、見て楽しい鉄道旅であ

りました。