「こんにちは、母さん」

 劇作家 永井愛さんの作品がテレビドラマ化されました。舞台で何度か
上演されているものをドラマ化するというのは、作品のイメージがある程度
できあがっているので、むずかしいものです。
 結局のところ、NHKではすでに定年となったかっての名演出家をよんで、
主人公の母さんと息子は、舞台と同じで加藤治子さんと平田満さんが努めた
のでした。舞台にはでてこない人物もこさえてですが、小生は、全4回のうち
初回と最終回を見物いたしました。
 作者の永井愛さんは、二兎社という劇団を結成して、その座付き作者と
演出を担当しているのですが、二兎というのは、同じ兎年うまれの大石静さんと
一緒に劇団をスタートさせたからでした。
ということは、永井さんと小生は同年の生まれということになるのですか。
 この「こんにちは、母さん」は、ほとんど加藤治子さんと平田満さんの
二人芝居ともいうものでありまして、最後のところでは、がっぷりとくんで
ながい科白の応酬となるのでした。
実年齢が高くなるとせりふをおぼえるのがたいへんになるといいますし、
舞台と違ってテレビではあまり年齢とのあいだに隔たりがあるものは演じ
にくいということがありますから、このタイミングくらいでテレビドラマに
しておかなくては、加藤さんも、平田さんも、年齢超過してしまいそうな
感じでありました。
 年代的には、小生の世代が一番身につまされる内容となっていました。
永井さんは、どちらかというと社会派的な作品が多いのですが、小生は
「片づけられない女たち」を舞台で見物したのみです。
この「こんにちは、母さん」でしたら、加藤治子さんと平田満さんの共演と
いうことになるのであれば、是非とも劇場に足をはこんでみたいと感じた
のでした。
こういう作品を見ますと、同年代の男性作家たちは、このようなメッセージを
どのように受け止めるのかと聞いてみたくなるのでした。