岩波文庫80年 3

 本日に帰宅しましたら、岩波から「図書」4月号と「岩波文庫 私の三冊」が
届いておりました。後者のほうは、最近あちこちの読書関連ブログでとりあげられて
いて、みてみたいと思っていたものですが、やっと手にすることができました。
 小生も、みずからに同様にアンケートを実施して、それは3月6日に掲載を
していますが、私の三冊というのは、そのときの気分で、中身がかわりそうで
ありまして、絶対にかわることのない三冊なんてのをあげることはできないので
ありました。
 ちなみに、今回のアンケートで一番票があつまったのは、図書4月号に掲載され
ていまして、
 「きけわだつみのこえ」が一番、ついで「わがはいは猫」以下は、
 「忘れられた日本人」
 「種の起源
 「意識と本質」
 「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
 「銀の匙
 「コーラン
 「日本の下層社会」
 「三酔人経綸問答」
 となっていました。

 「わだつみのこえ」が倍もあつめているというのですから、これは相当に回答者が
かたよっているのでありましょう。そもそも、このアンケートは偏りのない傾向を
調査するものではないので、このようなものもありでしょう。
 小生としては、できるだけ普通の傾向がみえたらおもしろいのにと思うのですが、
「小学校6年の家族旅行。僕の鞄には即興詩人と坊っちゃん。夜、枕元にはこの2冊」と
書いている人もいて、とっても普通の読書人とは一緒にならない。
 「忘れられた日本人」が予想以上に上位にきていて、これには驚きました。これは
宮本常一の業績へのオマージュでありましょうか。

 図書4月号をみていましたら、来月の新刊予定がのっているのですが、現代文庫の
リストに「野坂昭如」の「好色の魂」「水虫魂」が入るとありまして、これにはびっくり
であります。とうとう野坂も新古典のなかまいりですか。「好色の魂」は高校生の時に
下宿していた家で同宿であった単身赴任のおじさんがとっていた「小説新潮」で読んだ
記憶がありました。3回くらいの連載ものではなかったろうか。(調べるとすぐに
わかるのですが。)このような野坂の作品は、ふつうに文庫で購入できると思うのに、
もう品切れとなっているのでしょうか。
 高校のころにこのおじさんが捨てた「小説新潮」には、百鬼園随筆が連載されていて
これを楽しみにしていましたし、「小説現代」には「孤狸庵閑話」の連載がはじまった
ときでした。遠藤周作の自宅トイレを新しくして、それで自宅にくる編集者につかわせる
なんてのを読んだ記憶があります。
 この時代は、このような中間小説雑誌の黄金時代であったのでしょうよ。
(脱線してしまって、どこが岩波文庫の話題といわれそうですが、ほとんど自分では
小説新潮などは購入したことがないのでありますから、ちょうどいい時代に、いい環境で
めぐりあうことができたということでしょうか。これも幸運のなせるわざです。)