長寿の詩人 まどみちお

 詩人に長生きはなんとなく似合わないようにも思いますが、
長寿の詩人がいてもいいではないか。
 机の近くにあったまど・みちおさんの文庫をみましたら、
まどさんは96歳になったということです。
まどさんが「ぞうさん」で世にでたのは40代後半である
ようですから、よほどに遅いデビューであります。
それから50年くらい活動をしていて、いまだに現役であり
ます。
 歳を重ねるごとに、その存在が大きくなっていて、これは
あとに続くひとたちにとって励みになることでありましょう。
若くして10代で世にでたとか、20代前半で大きな賞を受けた
というのは、気がついたら中年になってしまっている普通の
おじさんには逆立ちをしてもまねできないのですが、90歳まで
しこしことやっていたら、なんらかの仕事ができているのでは
ないかと希望がもてるだけでも老年の星なのでした。
 まどさんについては、阪田寛夫さんの作品がちくま文庫
あってハルキ文庫には詩集もあるのでした。

 臨 終  まどみちお

 神さま
 私という耳かきに
 海を
 一どだけ掬わせてくださいまして 
 ありがとうございました 
 海
 きれいでした
 この一滴の
 夕焼を
 だいじにだいじに 
 お届けにまいります