話題の本

 ベストセラーとか話題になっている本は、なんとなく
遠ざけてしまうようなところがあります。年末に、今年の
ベストセラーというリストがでましても、それにある
本のほとんどに縁がないのでした。
 本日の本は、最近話題となっている「算法少女」ですが、
このような本こそ売れてほしいと思いました。
これまで、このようなものがあることをまったく知りません
でしたので、この本を刊行するに力があった人に感謝しなく
てはいけません。
 この小説については、あちこちのページで書かれています
ので、そちらを見てもらうとして、小生が感じいったのは、
作者が「はじめに」に書いている次のようなくだりです。

「 最後にわたしごとになりますが、この本には父の思い出が
からんでおります。
 父は無名の一学究で終わりましたが、江戸時代に出版された
科学書を集めるのを楽しみのひとつとしていました。算法少女
の名も、幼いわたしが父の机のそばで遊んでいるとき、なに
げない父の話のなかで聞いたのが最初でした。
 それから三十年以上の歳月が流れました。なき父に、この本を
ささげたいと思います。」 

 作者はこの文庫のためのあとがきを寄せていますが、この本を
手にしたら、この前書きとあとがきを、まずは読んでほしいと
思います。ここには、作者と作品と読者のきわめて幸福な
出会いがあるのでした。