ディモン・ラニアンつながり

 庄野潤三さんの本「エイヴォン記」を読んでみるまでディモン・ラニアンという作
家については、まったく知りませんでした。それが不思議なことに、ブックオフ
この本を手にして話題としましたら、それにつながるように「本の雑誌」3月号の記
事であります。
 これはたぶんに、ディモン・ラニアンの翻訳を手がけていた「加島祥造」さんが
亡くなったことと関係がありです。
たとえば、「本の雑誌」3月号の巻末にある「今月書いた人」という欄にある青山南
さんのコメントです。
「12月末、加島祥造さんが亡くなった。加島さん訳のディモン・ラニアンの『ブロー
ドウェイの天使』復刊してほしい。」

ブロードウェイの天使 (新潮文庫)

ブロードウェイの天使 (新潮文庫)

このようにありました。「ブロードウェイの天使」は、庄野潤三さんが小説で話題に
している「ブッチの子守歌」が収録されているものです。
 庄野潤三さんは、この「ブッチの子守唄」のタイトルについて、次のように記して
います。
「目次を見ると、題名の下に英語の原題が出ていて、それは”Butch Minds the Baby"
とある。つまり、ブッチは赤ん坊の守りをする、という意味で、中身を読んでみると、
なかなか味のある題をラニアンがつけていることに気が附く。子守唄、というのは訳者
加島祥造さんが工夫した題名で、この物語のなかでブッチは絶えず自分の連れている
赤ん坊のことを気にかけて、こまめに面倒をみるけれども、別に子守唄を歌ったりはし
ない。だが、ブッチがどんなふうに(それどころでない状況のなかで)赤ん坊の世話を
するかというのが、この短編の、いわば見どころになっている。」  
 「本の雑誌」3月号に話を戻しますと、ディモン・ラニアンに言及している方が、
もうひとかたいました。「記憶の本棚」若島正さんです。
若島さんは、翻訳家としての加島祥造さんについて記しているのですが、そのなかで、
ディモン・ラニアンの作品に触れています。
加島祥造さんが亡くなった。新聞の追悼記事では『詩集『求めない』で知られる詩
人』と書かれているとおり、老子に傾倒し、現代に生きる仙人のような風貌をした加島
さんのその詩集がベストセラーになったことは記憶に新しいが、正直なところその辺は
わたしにはまったく関心がない。・・・わたしにとっての加島祥造さんんとは、リング
ラードナーとディモン・ラニアンの翻訳者である。」
 若島さんは二十歳のころに、ディモン・ラニアンの『野郎どもと女たち」を加島訳で
読んで、その作品世界にはまることになったと書いています。 
野郎どもと女たち (1973年)

野郎どもと女たち (1973年)

 これは気になることで、早速にディモン・ラニアンの作品を確保しなくては。