夜に自宅に戻りました。関西は思ったよりも寒かったかなと思っていた
のですが、こちらはさらにでありました。気温はもちろん氷点下で、自宅の
室温はプラス6度でした。あわててストーブをつけて温めるのですが、しば
らくは気温があがらずで、ちょっと寒さに震えました。
本日は移動の車内で持参の文庫本を読みましょうとと、意気込んでいた
のですが、空港に移動のリムジンバスは高速に乗る前に、関空からの飛行
機は離陸したのも知らずでありましたので、ほとんどページを稼ぐことはで
きずでした。
それでも待っている時間がながかったこともあって、旅行前から読んで
いた絲山秋子さんの「薄情」は、最後のページにたどり着くことができまし
た。この文庫の解説は堀江敏幸さんでありまして、これはありがたい。
この作品は2015年に発表されたものですが、谷崎賞を受けたものと
なります。
主人公は男性で、作品の舞台は群馬県で主人公が住んでいるのは高崎
でありましょうか。この作品の地名は、すべて実際にあるものなのでしょうね。
印象に残ったくだりに次のようなところがありです
「半年間の農作業から戻って、体力が充填されると動物のように女が欲しく
なる。耐えがたい欲求となる。そうは行っても先のことを考えたら地元で失敗
するわけにはいかないから、宇田川はSNSで適当な相手を探すのだった。
もちろん送られてきた写真などあてにならないが、それでも好みの爬虫類系
だったらいいなと思って待ち合わせての都内に向かうときが一番楽しい。」
「地元で失敗するわけにはいかない」というところが、リアルな地方都市の気分
でありますね。こういうのは群馬に限らずでありましょうが、この作品ではかなり具
体的な地名とか道路が書き込まれていますので、そのことが現実の世界と間違え
て読まれてもということにつながっていくのかな。
もちろんモデルなどはないのでありましょうが、最新作の「神と黒蟹県」のほう
が、現実の地名がでてこない分、フィクションとしての完成度は高くなっているので
はと思うことであります。
これがこの10年での絲山さんの進化でありますね。