出先で読む本

 先日にブックオフで購入した本を出先で読むものとして、持ち歩いています。

 これまでなかなかうまく読むことができていない内田洋子さんの文庫本で

ありますが、これはどうでありましょう。

ほんとうでありましたら、内田さんの「旅する本屋の物語」を先に読んでしまいたい

のですが、これは持ち歩くには、ちょっと大きくてポケットには入りませんからね。

 そんなわけで、先日に安価で購入した文庫本は、次のものでありました

 

 まだ読み始めたばかりですが、これの最初の章を見ましたら、内田さんが

イタリアでどのような仕事をされているのかがわかってきました。

 その仕事で取引のあるイタリアの大手のフォト・エージェンシーのセールス

アントニオと一緒に営業にいくところが描かれていて、そこには次のようにあるの

でした。

「アントニオが担当する大手出版社は、昔は筋金入りの左派で知られていた。

創立者は北イタリアの知識層を代表する傑物だったがやがて経営難に陥り、

出版社は居抜きで売却されてしまった。会社自体は残ったものの、新しい経営

者が右派であったため者の方針が逆向きとなった。出版業界とは無縁の新進

実業家が潤沢な資金力に飽かせて買い上げたのは、政界に進出しようとする

彼が世論調整の足がかりにするため、と噂された。

 左派の創立者が去ったとき、大勢の記者や編集者達も揃って社を後にした。

しかし社員全員が、自らの宗旨を守るために安定した収入を見捨てられるわけ

ではない。・・行く先と辞める勇気が見つからず、会社に残った者達は忸怩たる

思いで働いている。」

 内田さんが、このように書いている「大手出版社」というのは、エイナウディ社

のことでありますね。

検索をかけてみましたら、エイナウディ社はそのままベルルスコーニ一族が支配

する出版社の傘下とありました。これは左から思いっきり右に振れたことになり

ます。

 エイナウディ社といえば、トリノで誕生してパヴェーゼカルヴィーノの作品を

世に送りだした版元でありますから、日本でこれらの翻訳をだしているところに

雰囲気が近いといえば、晶文社あたりとして(そういえば晶文社も経営危機に

陥りましたが)、ここが新興財閥の右派のどこかに買われてしまったということ

ですね。日本ではそんな事例はあったでしょうか。

 USAでは大手の新聞社が買われてしまったとか、最近でいうとツイッター

買われてしまって、無残にもXになったというのが記憶に新しいところです。

 そういえば、このエイナウディ社について書かれた本が日本でも翻訳がでて

いるとのことでした。これも読んでみたいことで。