気分転換の本となり

 本日は昨日に購入した服部文祥さんの「サバイバル家族」(中公文庫)を手に

しておりました。

 サバイバルというのは、服部さんのキーワードでありまして、みすず書房から

刊行されている本のタイトルは「サバイバル登山家」でありました。ヒマラヤな

どに行く時は別にして、北海道の山中に入っていくときには、携帯電話はもとよ

り、食料もまったく持たないで、山中で食べられるものを見つけて、それで登山

を続けるという過激なスタイルで有名になりました。

 半分は山岳雑誌の編集者で、半分は登山家、そして父親でもあるのですね。

その服部さんが、主として自分の家庭生活について書いたのがこの本となります。

かなりのところ、実話なのでありましょう。「サバイバル家族」とあるので、

とんでもない田舎で自給自足をしているのではと思ったりですが、そんなことは

なくて、川崎市宮前区ので暮らしているようです。

 三人の子どもさんがいらして、小さなときからのエピソードが紹介されて、今

は一番上の方は成人になったようですから、書くことについて、子どもさんたち

の了解をとるのが大変であったでしょうね。

 なかなか自分の家族についてを、このようには書きにくいものでありまして、

その昔に椎名誠さんが、「岳物語」を書いていたときに、息子さんはモデルとな

るのに同意されたものの、娘さんのほうは、「私のことは書かないでね」といった

とかで、娘さんは登場することはなかったようです。

 服部さんのところでは、そういうことはなかったのか。 

 小学生から中学生の子どもを持っていて、学校に行きたくないなというような

話がでたときに、この服部さんのように言うことができるかどうかですが、学校

でいい成績をとって、いい学校に行って、いいところで就職するのに、どのような

意味があるのかですね。そのように問うのがサバイバル家族でありましょうか。

 読んでいてそうなのかと思ったことの一つは、服部さんのお名前のことでありま

して文祥というのは、その昔の囲碁のアマチュアの強豪である村上文祥さんから

いただいたとありまして、なるほどと思いました。

 もう一つ興味深かったのは、居住区の対抗運動会があって、それに参加している

という逸話です。最近まであったように読めるのでありますが、当方の住む町内の

運動会はとうになくなってしまっていますが、服部さんのところは続いているので

しょうね。