天眼鏡をつかって

 本日に新潮「波」4月号が届きました。いつも楽しみにしている「波」です

が、今月の表紙は津野海太郎さんが自宅で本を読んでいる写真であります。

 津野さんのご自宅での映像は、以前にNHK教育TVでジブリの鈴木さんと対談

したときにすこし流れたように思いますが(録画していますが、いまは確認せ

ずです。)、この部屋の書棚写真は映し出されていただろうかな。

 どちらにしても、この書棚に何が置かれているのか興味深いものでありまし

て、これをチェックすることにです。すぐにそれとわかる本もあるのですが、

それじゃ、そのとなりあるものは、なんであるのだろうかと思ってみますと、

これが判然とせずで、それではと天眼鏡(虫眼鏡ですね)を取り出してきて、

それを使って、なんとか背表紙を見てみることにです。

 これは残念ながら天眼鏡でははっきりと読み取ることはできなかったのですが、

パソコンに取り込んで拡大してみましたら、ほとんどの本のタイトルを読むとる

ことができました。

 左側の棚は鶴見俊輔さんのものが多くて、そこに桑原武夫中野好夫という先人

のものがあって、下のほうに藤田省三さんもの、岩田宏さんとか辻征夫さんのもの

もみえますですね。

 それじゃ右側の棚はというと一番上の段には、左から高杉一郎さん、花田清輝

さん、長谷川四郎さんとあって、二段目には堀田善衛さんのがまとまっている

ようです。その下には富士正晴さん、小沢信男さん、山田稔さんですね。その間

に野呂重雄さんの最新作「喪失」の黒い背表紙がみえます。

 さらにその下には加藤周一著作集とか木下順二さん、川崎彰彦さん、井伏鱒二

さんなど、安岡章太郎さん、後藤明生さんもありますね。

 津野さんにとって、この書棚の本はどのような意味をもっているものであるの

かわかりませんが、鶴見俊輔さんのものがずいぶんと多いので、津野さんへの

鶴見さんの影響の大きさを感じることができることです。

 図書館ではありませんので、個人全集などを全巻揃えて並べる必要などはなく

て、残すものだけを手元においておくというのを、形にすると、このような書棚

になるのだなと、勉強になることです。(ちっとも読んでいない全集を箱入りの

ままで巻数順にならべるというのは愚の骨頂であるということがわかりました。)

 高杉一郎さんと長谷川四郎さんを隣り合わせるというのは、シベリアつながり

であるだけでなく、友人でもあったのですから納得ですし、富士正晴を介して

小沢信男さんと山田稔さんをならべるというのは、当方のところでもやってみた

いと思うことです。