オリンピックを避けて

 先日から冬のオリンピックが始まったせいもありまして、TV各局は人気の

ありそうな競技を軸に放送番組を組むことになりです。以前はそんなにも思わ

なかったのでありますが、このところあまりにもオリンピックは国家が前面に

出すぎているのではと感じることで、当方はすこしひいてしまうことです。

 その昔は東欧から旧ソ連にかけては、国家の名誉のために戦っていますとい

う感じが強かったのですが、最近は東アジアのいくつかの国にそれに似たもの

を感じたりです。

 この国も、数年前からは何かというと「国益」という言葉が使われるように

なりましたからね。オリンピックから国別でなくてはいけないのでしょうかね。

その場合には、グローバル企業別の選手団ということになりそうで、どちらに

してもぞっとしないことです。

 それはそれとして、本日はあれこれの合間に図書館から借りてきた小説を読む

ことになりです。先月の芥川賞選考で残念ながら受賞することができなかった

ものであります。

 こちらの新聞の予想では、この作品に二重丸をつけている方が多かったのでし

て、その予想を見たら、これは読まなくてはと思いながら、読む時期を逸して、

初出の「新潮」令和3年10月号を借りて、やっとこさで目にすることができ

ました。 

 170枚の中編でありまして、本来は一気に読むものでしょうが、ブツブツと

断続的に読みつぐことになりまして、ちょっと印象が散漫でありますので、もう

一度読み直さなくてはいけないようです。

 もともとは、当方の好きな仕掛けの作品でありまして、その仕掛けというか、作

品の枠組みには、かなりよろしいと思うのですよね。ちょっと残念なのは作品の

ほとんどが対話形式になっていることで、これの多用というのは、なんとなくライト

ノベルを思わせてしまうのですね。対話する登場人物の設定が若いというのも、

なおそれを感じさせるのかもしれません。

 そのへんも含めて、これは作者の狙いでありまして、それがうまくはまったのか

どうかでありますが、この作品が好きか嫌いかと言われると、もちろん好きで、

次も仕掛けある作品を期待します。