当方にとって尾道といえば大学の時に一緒のクラスだった男性の出身地で
あり、映画「尾道三部作」の舞台であります。
当方は学生の頃、あまり親しい人はいなかったのでありますが、どういうわけ
か肌合いはまるで違う尾道出身の現役で入ってきていた人と親しくなることに
です。当方の親しい人は、本屋(新刊、古本)歩きを一緒にすると決まっていたの
ですが、その彼はまるで本を読むことに興味がなさそうな人でありました。それ
だけに、こういうふうにあまり屈折していないにいちゃんが、どうして変人の多い
学部学科に進学してきたろうと不思議に思いました。
彼の実家は尾道市の商店街で履物屋かをしていたはずで、他の貧乏くさい
クラスの人とは違っていました。学生のころにどこから見つけてきたものか、
ちょっと型落ちのフェアレデイ(1973年頃のちょっと前の型)に乗っていて、それ
で当方の下宿まで訪ねてくれました。
当方と同じく彼もやっとこさで学校を卒業し、あまりメジャーではない旅行会社
に就職したはずです。卒業してからまもなく一度くらい会ったように思いますが、
尾道というと、彼のことを思いだします。
そう思って、数年前に今なにしているかなと思って検索をかけてみたら、かって
彼の親の店があったところで、アウトドアの店を経営しているようで、今も健在で
あるらしいことがわかりました。
それからすでに半世紀でありますが、いまだに尾道との縁は完全には切れて
いないかと思ったことです。
それに加えての大林監督作品であります。三部作をすべて繰り返し見ている
わけではないのですが、「転校生」だけは尾道の風景と小林聡美、尾美としのり
の鮮烈なデビューのために、永く語りつがれる作品となりました。
この映画が上映されていたころには、まだ同級生は尾道に戻っていなかったはず
で、彼が尾道にいたら、当方は間違いなくかの地を訪ねていたでしょう。
大林監督の訃報を知って、先日に録画してあった原田知世さん主演の「時を
かける少女」を見ながら、尾道の風情にひたりながら、大林監督の冥福を祈るこ
とにいたしましょう。