話題てんこ盛り

 このところあまり良く読めていなくて、すこし相性が合わなくなっているかな

と思っていた堀江敏幸さんのものですが、今回の「定形外郵便」は、短いコラム

で話題も当方好みのものが多くて、久しぶりに楽しく読ませてもらっています。

 今回のは「芸術新潮」に連載のコラムをまとめたものですが、見開き2ページ

にちょっとはみ出すくらいの文章というのが、集中力が薄れている当方の気分に

あっていることです。

 これはそんなに急いで読むこともないので、ゆっくりですので、いつまでたっ

ても最後までたどりつけないかもです。まあ、どこからよんでもいいのでありま

して、その日の日付のページを開くのもありか。

 本日は、当方のお気に入りの話題を紹介です。

「全集の資料でありながら、一般の読者にはあまり注目されていないものがある。

配架の際には取り除かれる外函や表紙カバー、書評や時評の一節が抜かれた帶の

ことではない。書店のチラシの棚に置かれている内容見本だ。刊行時期、造本の

データ、編集上の特色と解説者のリストなどが簡潔にまとめられたパンフレット

である。これには作家や批評家による比較的短い推薦文が掲載されており、書き

手の人選ともども貴重な資料になりうるのだが、月報のように読書の対象とは

見なしにくい。」

 ということで、最近はあまり出ることがなくなってしまった内容見本でありま

すが、その昔に個人全集などが刊行されるときには、必ずといっていいほど作成

されたものです。

 当方の手もとに残っている全集本などは、一冊あたり百円くらいしか値段がつ

かなそうなものもありますが、一方でそれの内容見本は千円近くもするという

不思議なことになっています。ひょっとして当方のコレクションで一番値がつく

のは内容見本かもしれません。

 堀江さんは、上のように書いたあとで、武田泰淳が「周作人と藤村が会った折

の話」をどこかに書いていたと、これを調べる話題に転じて、それが武田泰淳

最後の単行本「文人相軽ンズ」にあったことを突き止めるのですが、問題となる

のは、これの初出でありまして、それについては次のように書いています。

「『静かな計画性』というその一文の初出は、『昭和41年7月、筑摩書房『藤

村全集』内容見本。』どうりで月報に見つからなかったわけである。」

 これを見て、当方のコレクションにある「筑摩書房『藤村全集』内容見本」を

あたってみることになりです。当方がもっているのは、昭和41年ではなく、

そのあとの版の内容見本でありまして、ここにも武田泰淳の文章はあるのかと

思ってチェックしたのですが、これは残念ながら違った見本になっていたよう

で掲載されていませんでした。

 それにしても内容見本は、これから復活することはあるのだろうかな。