なんとか30ページ

 夕方に外出より戻って来て、吉田健一さんの「金沢」を読むことになりです。

 ほんとわけのわからない小説(?)でありまして、この小説はそのわけのわから

なさを楽しむものでありますね。本日はそれでも、すこし会話の続くところがあり

まして、その会話のところには、首をひねらなくとも理解ができたりするのですが、

それを受けるのが、地の文がまたくねくねとした文章となるのでありました。

 こんな感じなのです。

「『この辺に生えていて春のうちに取って酒粕や何かを混ぜたものに漬けて置く

のですよ。その切った恰好から星草って言うらしい。』

 そうかも知れなかった。大概の飲みものや食べ物は先ずそのようなもので

その故事や由来を聞かされてその味がよくも悪くもならず、その星の形をした

茎の輪切りもそのことを聞く前と同じ爽やかな味がした。」

 主人公が招かれて金沢のどこかのお宅で酒肴をいただくのですが、酒のあて

となる食べものについて、「不老長寿の霊薬ですか」と発したことから、そこの

ご主人と以上のようなやりとりになりです。

 本日は、この会話のところで救われました。いまだ70ページというところです

が、すこし前進であります。

 これとくらべると「汽車旅の酒」に収録の文章は、わかりやすく、読みやすい

ことであります。

「汽車がごとごと揺れて走っている時、原稿など書けたものではなくて、それよ

りも、仕事を持って旅行に出掛けるのでは、旅行をする意味がない。」

 まさにそのとおりでありまして、これは読み違える可能性はありませんね。

金沢・酒宴 (講談社文芸文庫)

金沢・酒宴 (講談社文芸文庫)

 

 

汽車旅の酒 (中公文庫)

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