うとうとと読書

 本を手にしていると、すぐに眠りに落ちてしまいます。本日も夕食をとってから、
悪い姿勢で本を読んでいましたら、何度も中断となりです。
 欲張って図書館から借りてきたものですが、一冊の全部は読まんでも前書きと後書き
くらいは読んでから返すことにしようと、手にして目次をながめることになりです。
 今回借りたもので、一番読む事が難しいかなと思ったものも、興味がわきそうなとこ
ろをつまみ読みでしてみると、それなりページが進みました。

シベリア抑留――米ソ関係の中での変容

シベリア抑留――米ソ関係の中での変容

 1982年生まれの若い研究者の博士論文を元に刊行したものとあります。博士論文を
読むなんてことは、めったにあることではなく、そういえば過去には藤森照信さんの
「明治の東京計画」がそうであったなと思いながらです。
 この論文集は、「シベリア抑留 米ソ関係の中での変容」とありますので、ロシアの
資料だけでなく、USAの資料も調査されているのが特徴でありましょうか。(もちろん、
当方はシベリア抑留といえば、抑留になった人による手記くらいしか知らないのであり
ますが。)
 目次を見て興味をもったところから読むということでは、一番最後のほうにおかれて
いる「抑留中の性生活」というところを、まずであります。これについては、ほんの
1ページくらいしかないのですから、これならすぐに読めてしまいます。
 これについては、USAが占領時代に実施した日本人帰還者への調査の項目にあるとの
ことで、これが含まれる章のタイトルは、「米占領軍の『執拗』な帰還者調査から見る
抑留の実態」というものになります。
 この「執拗な調査」は、「リンガー作戦」と呼ばれて、帰還者から「収容所周辺の地
理・資源・交通・都市情報やソ連の軍事秘密の収集に焦点が絞られたプロジェクト」と
あります。その中から「抑留回想記が避けてきたテーマ、『収容所内のモラル』、『逃
亡者』、『抑留者の性生活』」について著者は紹介しているわけです。
 このへんは、ほとんど箸休めのようなページでありまして、興味本位で読むことがで
きます。
「リンガー作戦の対ソ観調査の中には、日本人軍事捕虜の性生活に関する証言が頻繁に
登場していた。米国は捕虜が接触した一般のソ連人の様子や彼らの生活状況を調べてい
たのであろか。リンガー作戦が帰還者に対して女性関係を質問する際、どこで、どのよ
うにソ連人女性と関係を持ったのか詳細に訊いていた。しかし聴取された帰還者の多く
は、詳細に内容を語るわりには、それを伝聞として証言していた。」
 「詳細に語るわりには、伝聞として」でありますか。自分のことではなく、そういう
話をよく聞いたでありますね。抑留先で現地の女性と生活をともにするようになって、
帰国しなかった方もいるのですから。
 ということで、このあとは長谷川四郎さんのロシア女性が登場する小説でものぞいて
みましょうか。