じじいの好きな

 亭主が好きなのは赤烏帽子で、じじい(当方のことです)が好きなのは、

スタンダードな音楽でありますが、最近はほとんどスタンダードは古典音楽の

ようになっていて、ほとんどTVで見ることはできなくなっています。

 最近TVの音楽番組を席巻しているのは口パクとカラオケに、二番を抜いた

歌ばかりで、しっかり音楽を聞かせてくれるものは、ほとんどなくなっているに

等しいことです。わずかに残っている番組を録画しながら、繰り返しみることに

なりです。 

 今年にあった音楽関係のTV番組で一番楽しみにしていたのは、TV朝日系

の「関ジャム」であったのかもしれません。音楽のうんちくを語る番組でありまし

て、これは最近の音楽に関しての情報を与えてくれ、聞き方を教えてくれるもの

でした。

 今年は、残念ながらTBS系の「クリスマスの夜に」は中止になるということで

すが、これはちょっとしょうがないかなと思っています。現在長期休業中の山本

潤子さんが復活することがあるとすれば、この番組であろうと思っていますので、

まあそれまでは、じっくりと待つことにいたしましょう。

 そのかわりといってはですが、昨晩の夜にあったBSーTBS「Sound in S」は

今年の終わりを飾るにふさわしい番組でありました。番組は加山雄三谷村新司

をメインに据えて、それに新妻聖子とリサ・オレインが加わって歌をきかせるという

番組なのですが、とにかくあまり上手ではない加山さんの歌よりも、そのバックに

控える歌伴メンバーとアレンジの人たちに拍手喝采であります。

 レコード大賞の実行委員のお一人であって、音楽界の大御所である服部克久

さんが登場し、自らアレンジした曲を振っているのを久しぶりに拝見です。いつで

あったかレコード大賞が、音楽的にはまったくの若い女性グループに決まった時

に、非常に残念というようなコメントを発したことが伝わってきました。

昨日の番組では、とても楽しそうに指揮をしているのが印象的でありました。

 そして何よりも良かったのは、この番組のエンディングのところで、先月になく

なった作曲家、編曲家、ピアニストの前田憲男さんに捧げる音楽を、高齢の現役

楽家たちが演奏したことであります。

 曲は「The Good Life」でした。メンバーは最後まで前田さんと一緒に演奏

していたベース荒川康男さん、ドラムス猪俣猛さん、ピアノは前田さんに変わって

たぶん最年長の秋満義孝さん、Rhodes(エレクトリック・ピアノ)に服部克久さん、

メロディを担当したのはテナー平原まことさんでした。

 このメンバーでテレビ番組に登場するということ自体が考えられないことであ

りまして、それだけにこの曲に特別なものを感じました。

  この演奏が、ことしで一番しみる音楽となりました。当方は、この「The Good

Life」という曲を、アン・バートンの歌うもので親しんでおりました。この曲を皆さん

にも聞いてほしいと思いながら、ネット上には見当たらないようなので、ここは

別な人のものを聞きながら、前田憲男さんの追悼を。


Tony Bennett - The Good Life (Original) HQ 1963