本日の朝日新聞文芸時評(磯崎憲一郎さん)は、書き出しが「今から
四十八年前の1970年11月25日、三島由紀夫は自衛隊市ヶ谷駐屯地
で割腹自殺した。」というものです。
これに続いて金井美恵子さんの「文学界」12月号のエッセイを紹介し
ているのですが、磯崎さんは1965年生まれとありますので、その時5歳
くらいでありまして、バルコニーで演説をぶっていた三島のことをは記憶
に残っているでしょうか。
当方は、そのころ京都で学生生活を送っていまして、住んでいた下宿に
はTVもなかったので、ほとんどTVを見ることはなかったのですが、たまた
ま、以下に記したような事情で、三島市ヶ谷バルコニー演説を見ることに
なりました。
この出来事があったあとに、大学の授業にでて、新聞に掲載されていた写
真のことなどが話題となりましたが、あまりにも猟奇的ですし、当方のまわり
には三島シンパもいなかったことから、よど号ハイジャックほどあとあと話題に
はなりませんでした。1970年というのもいろいろとあった年であります。
この時評を目にするまで、「文学界」に金井さんがエッセイを寄せていたと
は知りませんでした。これは読んでみなくてはいけないぞです。当方の行きつ
けの本屋には「文学界」は入っていないので、これは図書館でありますね。
磯崎さんは、この時評で「赤裸々な実感を敢えて書くという毅然たる態度」
が小説家には必要なことと書くのですが、この時代に「赤裸々な実感」を、その
まま発表しますと、あちこちでバッシングを受けるということになりまして、本当
にいやな雰囲気となっていることであります。
今でありましたら、「ゴーンは私欲のかたまりのような人物だが、そんなに
悪い人間なのか」なんていったら、彼は国をためにならない人物で、それを
認めるのは非国民だといわれそうであります。