西江雅之さんを悼む

 本日の朝日新聞朝刊に金井美恵子さんが「西江雅之さんを悼む」という文章を寄せ
ています。
 6月14日に、西江さんが亡くなったとの新聞記事を眼にして、なにか記することは
できないだろうかと思っていましたが、ほとんどとりかかることもできなくて、本日
にいたっているのでした。
 最近の新聞の追悼文といえば、亡くなったら待っていましたとばかりに掲載になる
こともあって、おいおい以前から用意していたのかよと思うこともありますが、亡く
なって3週間ほども経過してから金井美恵子さんの追悼文というのは、とてもよろし
です。
 西江さんという人のことを知ったのは、どうしてであったのでしょう。当方の学生
時代は、文化人類学がブームでありまして、若い学者さんたちが刺激的な著作を多く
発表していました。山口昌男さん、川田順造さん、青木保さんなどが、その代表的な
存在でした。こういう方々が、いかにもエリートさんらしい仕事をしているときに、
同じフィールドの学者さんである西江さんは、あきれるくらいの脱力系でありまして、
このような知の在り方もあるのかと驚いたことです。
 本日の金井美恵子さんの追悼文から引用してみます。
「著作の奥付には、担当編集者が書いたと思われる短い略歴を兼ねた著者紹介が載っ
ている。それが長くなるのは、西江さんという人が、私たちの暮らしている文化の中
で簡単な肩書で説明できない存在だったせいだろう。・・・
 西江さんは、短い言葉で簡単に通用する肩書的な価値観から、はみ出しているように
見え、不思議な魅力で人の心をとらえる人物だった。」
 「四十年以上の長いおつきあい」という金井さんであります。
当方の記憶には、その昔に「話の特集」で行った金井姉妹と西江さんの対談のことが
残っています。あの対談は、切りとってどっかにとってあったのだよなと思いながら、
本日にすこし探してみたのですが、これは見つからずでありました。
 あの「話の特集」の金井姉妹の対談は、一冊にまとまってはいないようであります。
 当方は、西江さんのものは、1975年にせりか書房からでた「花のある遠景」から、
2000年頃までずっと購入を続けていました。本日に探しものをしていて、何冊か西江
さんの本を手にすることができました。

花のある遠景―東アフリカにて (1975年)

花のある遠景―東アフリカにて (1975年)