このところ秋晴れの良いお天気が続きます。先日の地震から引き続きで
余震が起こっていて、今朝も震度3くらいの揺れがあって、そのためか
行楽に出かけようという気分にならないことです。
本日は「敬老の日」でありますからして、その主旨にそった生活をしなく
てはいけませんですね。
昨日に話題とした西江雅之さんの岩波「図書」2010年のものを探してみよ
うということで、物置にいれてあるダンボール箱をいくつかチェックしたの
でありますが、本日の捜索では発見することができませんでした。物置の
どこかにあるのか、それとも別の部屋におかれてある箱に入っているのか
な。とにかく、「図書」も「ちくま」も捨てていないのですから、丁寧に
時間をかけて探せば、どこかにあるのですね。まあ、そのうち見つけること
ができるはず。
このところ読書はページを稼げていませんです。読んで楽しくて、お勉強
になるというのが一番であります。そんなことを思いながら、新書版「谷崎
潤一郎全集」を手にしていましたら、これなら読めそうというものがあって、
それを読んでみることにしました。
昭和17年に文藝春秋に連載されたという「きのうけふ」という作品です。
この作品の最初のところにおかれていて、眼をひいたくだり。
「氏は私を見るや次の間からようと底力のある声をかけて這入って来られた
が、三四年前と、ちっとも変つてをられない、どころか、却って少し若くな
られたくらゐに見えたのに、私は軽い驚きを感じた。氏は私より十歳とは
年長でないが、それにしえも何年か前に還暦を済まされた六十何歳翁である。」
この時の谷崎は56歳くらいでしょうか。氏とあるのは、永井荷風でありまし
た。荷風は7歳くらい年長ですから、63歳でしょうか。
この時代にあっては、還暦を過ぎたら年寄りということになるのですね。
そういえば、老人福祉法というのができた1963(昭和38)年頃でも、老人と
いうのは60歳を超えた人のことという認識でしたね。
いまじゃ老人といえば、後期高齢者にならなくては資格がないようなこと
になっていまして、63歳翁なんていうと、馬鹿にしてるのかといわれそうで
ありますね。