毎日がお休みなのでありますからして、なにも日曜日に動いて、この日しかお休み
でない現役世代の邪魔をしなくてもいいのですが、朝の一番であればあまり現役の人
たちに迷惑をかけることもあるまいと、午前10時にスマホの修理のために近所のドコ
モショップへといってみましたら、開店早々というのに修理相談のための整理番号は
9番目でありました。見わたすと待っている方の半分は退役風ではありまして、あま
り現役に迷惑をかけることはしないようにと、改めて思った次第です。
9人も待っていますと、相談に入るまで待ちがそこそこかかります。それを想定して
持参した文庫本を読むこととしました。このところ、気が向いたらページを開いてい
るのは、次のものです。
- 作者: 谷崎潤一郎,小出楢重
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1985/09/17
- メディア: 文庫
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りますから大変よみやすいこと、それと小出楢重の挿絵が楽しくて、話の筋には関係
なしに任意のページを開いて楽しむというのもよろしです。
「着付けと言い、姿勢と言い、そういう爺臭い風をするのがこの老人の好みであって、
『老人は老人らしく』というのを口癖のようにしているのである。思うにこの羽織の
色合いなども『五十を過ぎたら派手なものを着る方がかえってふけて見える』という
信条を実行しているつもりなのであろう。要が常に滑稽に感じるのは、『老人老人』
というもののこの父親はまだそれほどの歳ではない、二十五とかに結婚して、今は
亡くなったその連れ合いが長女の美佐子を生んだとすると、恐らく五十五、六より
取ってはいないはずである。父の性欲はまだ変形していないという美佐子の観察は
それを裏書きするもので、『お前のお父さんの老人ぶるのは、あれは一つの趣味なん
だよ』と、かれもかねがね言っているのである。」
要(主人公)と美佐子は夫婦で、美佐子の父親は五十五、六で、娘美佐子よりも
若い妾と一緒に暮らしているという設定です。
最近に「趣味で老人ぶる」というのはあるのでしょうか。今は、若く見せたい、
または歳よりも若く見られたら喜ぶということになっていますが、かっては歳が
多くみられるほうを望んだ人もいたということですね。