先日に知人ときだみのるとミミちゃんの漂流のことを話題にしていましたら、そう
いえば、きだみのるはフランス時代に甘粕正彦と接触があったとありましたねといわ
れました。佐野真一さん「甘粕正彦 乱心の曠野」の巻末にある主要参考図書には、
きだみのるのものはあがっていないのですが、これは嵐山さんの本がでていないので
すから、その昔はあまり知られていないことなのかな。
あわせて、もう一つ話題となったのは、きだみのるが娘をともなっての漂流は、
やはりフランス時代の辻潤とむすこである辻まことの姿に重ねたものとのことでした。
「乱心の曠野」で伊藤野枝のことを読んでいたこともあって、辻まことのことが気
になりました。これまでみすず書房からでた本などを購入したりしていたのですが、
あまりプライベートなことについては知っておりませんでした。
それで辻まことについて検索をかけてみましたら、なんと彼にスポットをあてた小説
が書かれているということがわかりました。
- 作者: 西木正明
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1999/06/01
- メディア: 文庫
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容易に入手ができました。早速のこと、それを読んでみました。
辻まことさんというのは、不思議な人でありますが、この作品を読んでもその不思
議という印象にはかわるところがありません。当方は興味本位で辻さんの女性遍歴に
目が行ってしまうのですが、普通であれば実名で書くのが憚れるような内容の部分も
あって、実話をベースにしての創作ではあるのだろうと思うものの、どう受け止めた
らいいのかととまどうこともありです。
辻まことさんは、亡くなってずいぶんとたってから自死であったことが明らかに
なったのですが、その事実で、辻まことさんへの評価が変わらないように、この作品
でも不思議な人という印象は変わらないことです。
なんといっても辻潤と伊藤野枝という両親をもって、平凡に生きるというのがどん
なに大変かということがわかりましたです。