いよいよ冬本番

 ここのところ連日最低気温はマイナスを記録するようになりました。本日の当地は
さらっと雪が降りまして、朝にはすこし白くなっておりました。お近くの街では30
センチほども雪が積もったとか、いよいよ寒さ対策を本格的にしなくては。

 昨日に読んでいた「夢幻の山旅」は、ページ数は多いのですが、会話が多用されて
いて、ページに文字は詰まっておりません。こういうのはページ数を稼ぐためには、
とってもいいのですが、じっくり読むということにはなりませんでした。
 そんなことで、口直しで同じ日に入手した井伏鱒二「珍品堂主人」を読む事になり
です。

珍品堂主人 (中公文庫)

珍品堂主人 (中公文庫)

 こちらは本を開くと、文字がびっしりとはいっていて、なかなかページを稼ぐこと
ができないのですが、骨董品を扱う店の主人が、料亭を始めるというのが筋となりま
す。
 発表は1959年で、作品の舞台は戦後から数年たった頃のようです。主人公が取り扱
う骨董の値段が記されているのですが、現在の相場でいけば、これがいったいどのく
らいになるものか、すぐにはぴんとこないというのが、ちょっと歯がゆいことであり
ます。
 新薬師寺のご本尊にそっくりの白鳳時代とおもわれる一尺二寸ほどの仏像について
のくだりからです。
「取出して見せた仏像は、まぎれもなく白鵬の仏像と思われるもので、ちょっとうつ
むき加減にして微笑をもらしている顔が何とも言われない。ふるいつきたいほどの顔
でした。一回十五万円、十二回払いなら大した掘出しだ。」
 今の時代にこの仏像について、この「十五万円」というところを、どのくらいに直
せば、リアリティがでるでありましょう。当方にとっては、合計百八十万円というだ
けでも、十分に高額と思うのですが。