潺潺たる水の音

 先日ブックオフで手にした本は書名に「潺潺たる」という言葉がはいっていました。
これは読むことができないやと思って、この文字をじっと見ていましたら、谷崎潤一
郎の旧宅にこの「潺」という文字がはいっていたのを思いだしました。
 ほとんど文字化けするのではないかと思われるのが「潺湲亭」という谷崎の旧宅で
ありますが、潺湲というのは、水が流れる様子をいうのだそうです。
そして潺潺というのは、「さらさらと水がながれる様子」を意味するのだそうです。
 どうしてこの本が、先日のブックオフにあったのかは、まるで不思議でありますが、
まあ一期一会でありますので、購入することになりです。

地下に潺潺たる水の音を聞け

地下に潺潺たる水の音を聞け

 今年二月に図書館より借りて読んだものに尾崎俊介さんの「S先生のこと」という本
がありました。上に掲げた本は、このS先生こと須山静夫さんの著作であります。
S先生のこと

S先生のこと

 「S先生のこと」にも、先生が庭に穴を掘り続ける話が紹介されていたように記憶し
ているのですが、この須山静夫さんの書名ともなっている「地下に潺潺たる水の音を
聞け」という文章は、100ページほどのもので、まずはこれを流して読んでみることと
いたします。
 「S先生のこと」では、先生が21歳の息子さんを自動車事故で亡くしたことが記され
ていて、これにかかわるくだりが、とても印象に残っているのですが、この須山さんの
著作にも影を落としていないかを確認しながらであります。