一週間おくれで

 留守中にたまっていた新聞を整理していました。一週間分もたまると、さらっと目を
通すだけでもたいへんです。
 12日日曜の読書欄を見ていましたら、「著者に会いたい」という欄に小沢信男さが
登場しているのを発見です。これは「私のつづりかた 銀座育ちのいま・むかし」を
話題にしてのものです。

 記者がインタビューをまとめたものですが、書き出しは次のようになりです。
「『みんな、まずおやじを褒めてくれるんですよ。よく残しておいてくれたな、って』
 そう言って小沢さんは『私のつづりかた』と書いた茶色表紙の古い冊子を取り出し
た。」
 権力者は都合の悪い資料は、どんどんと隠すか捨ててしまうというのが、その昔から
の有り様のようです。そのあげくに、そんなことはあったっけ、どこに資料があるかと
居直られたりして。
 権力にだまされないようにするためには、普通の人は権力にとっての不都合な真実
しこしこと記録しなくてはいけないということでしょう。小沢さんの小学校時代の作文
を目にしますと、当時の教育と世相の雰囲気を感じ取ることができますが、最近話題と
なっている愛国教育の小学校の方針は、なんとまあ小沢さんの子ども時代の学校に似て
いることかな。
 ここのところ小沢さんのメディアへの登場が続いていまして、サンデー毎日、読売新
聞夕刊、そして朝日新聞読書欄と、これは忙しいことです。
 そう思っていましたら、週刊文春坪内祐三さんコラム「文庫本を狙え」で小沢さん
ちくま文庫「ぼくの東京全集」を取り上げているとの情報がありまして、これを立ち
読みすることができました。 ここのところずっと持ち歩いているのですが、ほとんど初めて読むような感じであり
まして、たぶんずっと読み終えることのない本であります。
このアンソロジーには、当方が一押しの「ちちははの記」という文章が収録されていて、
これはうれしいこと。ここに描かれているお父上が「つづりかた」を保存していてくれ
たのですね。