新刊入手せり

 小沢信男さんの新刊第二弾「私のつづりかた 銀座育ちのいま・むかし」を入手し
ました。

 「藝術新聞社」のWEBページで連載されていたものをまとめたものですが、これ
まで横組みで眼にしていたものが、きちんとした書籍の形になりますと、格段に読み
やすくなるものです。本にするということは、こういうことであるのか。
 あわてて読まなくてはいけないものでもないので、すこしずつ読み返していくこと
にしますが、それにしてもよくも昭和10年から11年にかけてのつづりかたが残ってい
たことであります。
 これのなかをのぞいて思いますのは、その当時の国語授業において作文の時間が
ずいぶんとあったなということです。収録されているものが16本ですから、夏休みと
か冬休みをのぞいたら、ほとんど月に二回は作文の時間があったということになりそ
うです。どうしてそんなに作文の時間があったのでしょうね。小学校二年生では、こ
のくらい書くことが決められていたのか、それとも受け持ちの先生が作文教育に熱心
であったからなのでしょうか。
 そして、その自由作文で書かれている内容であります。まちの子どもに当時の世相
はどのように受け止められたかが、当然のこと小学二年生の視点からえがかれていま
す。
 この本にはあわせて小沢さんが小学生の時に書かれた絵もおさめられているのです
が、これなどをみますと、小学校でどのような授業を受けていたかが、良くわかるこ
とです。
 今から80年も昔の小学校でどのような内容の作文が書かれていたか、絵が描かれて
いたかという実物を見るのは、当時の少国民教育理解のための非常によい資料であり
ます。
 PKOのために海外で汗をながしている兵隊さんに、激励のおたよりをだしましょう
と公立の学校が取り組むのも、そう遠くない時代におこりそうであります。皆さん
忘れたいかもしれませんが、そういう時代は過去にもあったのだよなということを
小沢さんの本は、自分の過去の作文と絵を通じて教えてくれるようであります。