ページを稼ぐためにといって手にしていた辻原登さんの「花はさくら木」を、なん
とか読みおえました。
- 作者: 辻原登
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/09/04
- メディア: 文庫
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ところがありまして、ここのところをさらに読んでみたら面白かろうと思いました。
その一つは、次のくだり。
「このとき、後水尾は強引に譲位して、女一宮を天皇位につけた。明正天皇である。
女帝の誕生は、奈良時代の第四十八代称徳天皇以来である。しかし、女帝は中天皇
(なかつすめらみこと)と呼ばれ、あくまで男子天皇即位までの中継ぎというのが
基本であった。」
この小説の登場人物の女性にかかわることでありますが、天皇家の姫が江戸時代に
女帝となるかどうかという物語も底のところにありまして、ここで中天皇(なかつ
すめらみこと)ということに言及されています。
歴史に弱い当方は、こういう天皇が存在したというのは、原武史さんの「皇后考」
で知ったのですが、この小説の主要な登場人物の一人は、後に女帝となったというこ
とです。作中の、この女帝に関するエピソードのほとんどは辻原さんの想像の賜物で
ありましょうが、この女帝のことが気になることです。
気にはなるものの、この女帝について手頃なものを見つけるのはちょっと大変であ
るようですので、もう一人の登場人物について見てみます。
この「花はさくら木」は、辻原さんが、後になって発表した「韃靼の馬」につながる
話題がありまして、それは江戸時代の日本と朝鮮半島の交易ですが、それを担った
対馬藩のことが、両方の作品で描かれています。
- 作者: 辻原登
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2011/07/07
- メディア: 単行本
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での話であります。「対馬」といえば、すぐに思い浮かぶのは、次の作品ですね。
「対馬は、日本海の西の果て、朝鮮海峡に位置し、上島、下島の二つの大島と九十あ
まりの小島とから成る山がちの列島である。西北は朝鮮に対し、東南は対馬海峡をへ
だてて壱岐ノ島に対する。上島と下島とは近接し、北北東から南南西にむかって長く、
南北七十二キロ、東西十八キロ、総面積七百三平方キロ、その大きさは、わが国の
主要な島島のうち、沖縄本島、佐渡ガ島および奄美大島に次ぐ。島の中央やや東寄り
を山脉が縦に走り、五百メートル前後の山山が幾重にもかさなって東海岸へ急劇に
傾斜している。」
これまで何度か手にして、途中でとまったままになってしまっている大西巨人さん
の「神聖喜劇」の書き出しであります。ここまででも、ちょっと引いてしまいそう
ですが、大西さんの文章としては、ここは読みやすいもの。
当方は、これまで1978年にでた光文社版を架蔵していたのですが、これとあわせて
光文社文庫を確保し、読みすすめていくことはできぬかと思っているのですが、いつ
になりましたら、読了との報告をすることができるでしょうかね。
- 作者: 大西巨人
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2002/07/01
- メディア: 文庫
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