サバイバル登山 2

 本当に気がついてみますとあちこちで服部文祥さんのお名前を見かけることです。
本日に書店へといきましたら、今月のちくま文庫新刊として、次のものがありました。

 今月の「ちくま」では、服部さんがこの本について紹介していました。もともとは、
2014年に「ちくま新書」ででたものとのことですが、これに増補して、今回の文庫と
なっています。この文章で、サバイバル登山については次のようにわかりやすく記し
ています。
「サバイバル登山とは、電気製品やテントを持たず、食料をできるだけ自給自足して、
道のない大きな山塊を長く歩くという山旅である。私以外に、そういうスタイルの登
山をやっている人にはあったことはないので、この登山が市民権を得たとはいえな
い。」
 「私以外に、やっている人にはあったことはない」とあるのですから、登山のスタ
イルとしては、まったくの異端であります。雰囲気として近いのは、自衛隊でのレン
ジャー訓練でやられていることですが、レンジャー訓練の目的は登山ではありません
ですからね。
 いまはまるで珍しいものになっている服部流ですが、今から百年前には、これが
普通であったとも記しています。
「私がサバイバル登山で感じていることは、すこし前の生活では当たり前だったこと
ばかりである。自分の力で登ろうと工夫したつもりが、結果的には、一部の装備を百
年ほど前と同じにして、百年前の登山者と同じものを食べているに過ぎない。」
 たしかに百年前の登山者である小島烏水さんの本で、昨日に引用したところは、
ちょっとサバイバルな雰囲気がありましたが、もちろんずっと優雅な登山であったよ
うです。