これもありました

 七夕といえば思い出す本といえば、当方の場合には川本三郎さんの「マイバック
ページ」ですねと、昨日に記したのですが、そのように書いたあとで本を積んである
ところを見ましたら、この書名の本がありました。

星のあひびき (集英社文庫)

星のあひびき (集英社文庫)

 この本の巻頭には、丸谷さんの句が掲げられていました。
 「 アジアでは星も恋する天の川 」
 書名が「星のあひびき」であるからといって、これにちなんだ文章がはいっている
わけではなく、これにかかわるのは、巻頭の句のみであります。
 そういえば、その昔の丸谷さんの本には、「星めがね」というものがありましたが、
この本は、あとがきによりますと、全集や文庫によせた解説文を集めたもので一種の
評論集と見て差しつかえないとありまして、書名については次のように書いています。
「『星めがね』とは言ふまでもなく天体望遠鏡の意。レンズの優秀を誇ることはできな
いにしても、すくなくとも数篇に関しては手前勝手な視覚の新しさを心中ひそかに自慢
してゐる。」
 1975年に書かれた「星めがね」の解説は、「星のあひびき」よりもずっとわかりやす
いように思えるのですが、上記のような解説があり、それから35年たっての「星のあひ
びき」には、自作の句が掲げられるだけであります。
 「星のあひびき」文庫本についている堀江敏幸さんの一節が帯にひかれていますが、
そこには「幸いなことに、私たちは年に一度の機会を待たなくても、天の川の内側で、
言葉と言葉の『あひびき』の現場に立ち会う可能性を与えられている。」とあります。
なるほどな、「星のあひびき」というのは、そういうふうに理解をすればよろしなの
か。