本日も雨

 ここのところお天気の悪い日が続きます。本日は雨ですが、ここのところ、毎日の
ように降っているような感じです。
 こちらはせっかく花が咲き始めていますのに、花に嵐ならぬ花に雨でありまして、
ゆっくりと花見をすることもできません。

 お天気がよろしくないので、本日はほぼ終日自宅にいたのでありますが、雨の中
先日に注文してあった格安文庫本二冊が届きました。

綾とりで天の川 (文春文庫)

綾とりで天の川 (文春文庫)

月とメロン (文春文庫)

月とメロン (文春文庫)

 いずれも、丸谷才一さんの雑文集で「オール讀物」に連載のものをまとめたもの
となります。丸谷さんは、基本は小説家でありますが、10年に一作くらいしか発表
しませんし、親から莫大な財産を相続したとか、大学に籍をおいて定収を得るという
こともありませんので、日々の糧は、この「オール讀物」と「書評」がたよりであっ
たろうかと思います。
 もちろん内容がよろしくなければ打ち切りになったりするわけですから、肩に力は
はいってはいないものの、相当に読み応えのある雑文集ができあがっています。
当方は「オール讀物」では、読んではいなかったのですが、これがまとまって一冊に
なりますと、それを買い求め、さらに文庫となったらまた購入ということを、ずっと
続けておりました。
 たぶん雑文集で、新刊で買い求めた最後の一冊は「青い雨傘」でありました。
そのあとにでた雑文集は、文庫になったら買おうとなり、そのうちにはブックオフ
安価で見つかったら買うかとなって、現在にいたっています。
 ところが「四谷書房」さんもお書きになっていますように、丸谷才一さんの文春文
庫版雑文集は、ブックオフなどではあまり目にすることのないものであります。
これはどうしてなのかと思うのですが、たぶんそのわりに売れていないからであるだ
ろうというのが、当方の推測であります。雑学と蘊蓄の宝庫であって、これはもっと
読まれても良いと思うことです。
 本日届いた「綾とりで天の川」の中から「贋作の動機を論ず」を読みました。
書き出しは、次のようになります。
偽書(といきなり断定してはいけないかもしれないが、諸般の事情からさう考へる
しかない文書)は、作るのももちろん大変だらうが、出現のさせ方がむづかしい。
 たとへば『東日流三郡誌』は所蔵者が戦後に自宅を改築してゐるとき、天井裏から
長持が落ちて来て、その長持のなかにはいってゐたといふ。
 ウーム、考へたなあ。・・・・・
『東日流三郡誌』のことはわりあひ知られてないかもしれませんね。」
 これが書かれたのは2004年のことのようですが、この頃には、すでに話題となって
いたのですが、このタイミングで言及しているとはさすがで、これについての本は
2006年に単行本、当方が知ったのはこれが文庫化されてからのことです。
偽書「東日流外三郡誌」事件 (新人物文庫 さ 1-1)

偽書「東日流外三郡誌」事件 (新人物文庫 さ 1-1)