Poetica 第三号

 富士川英郎さんについての本を読んでいましたら、小沢書店がかって刊行していた
Poetica」第三号が「富士川英郎」さんを特集しているとわかりました。
Poetica」なら揃っているはずと確認してみましたら、次のものでありました。小沢
書店とゆかりの深い著者を特集で取り上げた「Poetica」でありますが、このまま順調
に行きましたら、富士川英郎さんの著作集が小沢書店から刊行されることになったの
でありましょう。
 この冊子の表紙と裏表紙の写真を掲げてみます。


Poetica」の題字は吉田健一さんで、表紙絵は詩人三好豊一郎さんによるものです。
この時は、小沢書店月報とありまして、定価50円です。この号までは無料で送ってもら
えて、次号からは年間6号分として1200円負担していただきたいというお知らせ文書が
はさみこまれています。
 昨日に富士川義之さんの著作から引用をしておりますが、「長谷川郁夫氏のような
熱心な編集者がもしいなければ、英郎の学識もひょっとすると半ば埋もれたままになっ
ていたかもしれないのである。」であります。
 この「Poetica」裏表紙は、富士川英郎の本となっていて、小沢書店から12冊が紹介
されています。この裏表紙の地には、富士川英郎さんの顔写真がうっすらとすりこま
れていまして遠い目でみますと、笑顔のご本人のポートレートが見てとれます。
 この「Poetica」第三号には、冒頭に富士川英郎さんと中村真一郎さんの対談がおか
れ、それに続いてドイツ文学や比較文学の人たちによるオマージュが掲載されていま
す。
 そのなかで印象に残ったくだり、書いたのは神田孝夫(比較文学)さんであります。
富士川氏に新たな著書の出版を勧める人は、小沢書店主ばかりではない。他にもあっ
た。大阪で湯川七二倶楽部という組織を主宰する、一種の好事家、趣味人で、その倶楽
部では、次回は何を上梓するかを決めて実行に移し、会員にだけ頒つ仕組みになってい
るとは、のちに富士川氏から聞かされた所であるが、そういう変わった趣味人の仕事で
あるから、その本はよほど凝った贅沢な作りで、限定百部、定価は勿論ついていない。
 わたしは実は、これも一部頂戴して所持しているが、その湯川七二倶楽部から、富士
川氏の著書として刊行された本というのは、題して『本とわたし』という。・・・
 東京ばかりか、大阪にもそのような動きの起きているのは驚きだったが、それはとも
かく、最近十年ばかりは、富士川氏の著書は殆ど専ら小沢書店から刊行されている。
ついいま言った湯川七二倶楽部は別にすると、」
 小沢書店もですが、この時に富士川英郎さんに着目して刊行した湯川七二倶楽部も
すごいことです。そう思って、拙ブログの中を検索してみましたら、上に引用した文章
を、以前も引用しておりましたです。
 http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20080905
 ちなみに、この「本とわたし」ですが、次のようになっているとのことです。
 「本とわたし」富士川英郎 限定100部220×140
  表紙、函 望月通陽による型染布装 著者 墨書署名 1989.1.15