「みすず」読書アンケート

 2月に入ったその日に「みすず」読書アンケート号が到着しました。こんなに早く
に届いたのははじめてのことです。版元から遠くに住む当方のところには、都内と
較べますといつも数日遅れて届くのですが、今年は、都内とほぼ同じくらいで届いて
いるのではないかと思ってしまいました。ひょっとして、遠くに住む人から先に送っ
てくれたのかと思うほどであります。
 今回の「アンケート」で一番心に残ったのは、山田稔さんの次のくだり。
「今年は私の親友が何人か世を去り、そのつど彼らの遺した作品を読み返すことに
なった。・・・
 七月に死去した福田紀一では1952年、22歳で『VIKINNG』に発表した『失われた
都』および氏の二扁(『めくら・かめら』『水かけ不動』から成る『失われた都』
(1973年 河出書房新社刊 )」
 さらにこのあと山田さんの文章は5行ほど続くのですが、残念ながら、そこのとこ
ろは割愛です。(当方は、福田紀一さんが亡くなっていたということを、この山田さん
の文で初めて知りました。)
 ここで山田さんは、「友人の小松左京によって先を越されてしまった不運な作家、
福田紀一。」と記しているのですが、当方が福田紀一さんの小説を読むに至ったの
も、小松左京富士正晴というつながりによってであったかもしれません。
 「失われた都」が刊行されたのは1973年ですが、学生であった当方は、この作品を
購入し、それからしばらく福田さんの新刊はでたら買うということが続いていまし
た。この時期にあって、新刊がでたら必ず購入という作家さんは、そんなにいなかっ
たのですから、気に入っていたのですよね。