岩波新書「生きて帰った男」は、小熊英二さんが父小熊謙二さんへの聞き取りを
まとめて本としたものです。
- 作者: 小熊英二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/06/20
- メディア: 新書
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「学術的にいえば、本書はオーラルヒストリーであり、民衆史・社会史である。社会
的にいえば、『戦争の記憶』を扱った本であると同時に、社会構造変化への関心に応
えようとしたものである。」
一番身近な肉親を取り上げることで、そこから戦前から戦後を生きた日本人男性の
肖像を描くこと作業となります。ここで描かれた男性の肖像が、読む人に訴えること
となるかです。
当方は、小熊謙二さんの生年が、当方の父親のものに近いことや、北海道の田舎で
生まれたというような共通点があることから、自分の父親に生活歴を重ねることで、
これを読むことができました。
小熊英二さんは、「本書の対象人物は、都市下層の商業者である。」と記している
のですが、こういう無名の人物が、良き聞き手に恵まれるということは、極めてすく
なくて、そうしたことからも貴重なものとなりました。
この手法を使って、皆さんも自分の身近な人に聞き取りをして記録を残していきま
せんかというのが、小熊英二さんが一番訴えたいことであるのかもしれません。
政治家への「オーラルヒストリー」というのは、最近ずいぶんと目にするように
なっているのですが、戦後の高度成長に関わった人たちへのものは、これからであり
ます。
この本は、それに先だったオーラルヒストリーによる著作「在日一世の記憶」での
経験を活かしてのものとあります。
- 作者: 小熊英二,姜尚中
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/10/17
- メディア: 新書
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いと背中を押してくれるような本であります。