そろそろ今年の回顧か

 本日で今月も終わりでありますね。12月に入りますとあちこちで、今年の

ベストという特集があるのですが、今年はどんなものがあったのでしょう。

今年も図書館のおかげで、あれこれと本を手にすることができたのですが、

手にしたものの何分の一しか読むことができていないというのが残念なこ

とであります。

 図書館から借りたものはレシートが発行されていて、それを貼り付ける手帖

があり、それを見返せば、今年の図書館本の流れがつかめます。

それなのに1月に借りていた本のタイトルをみても、これが誰のどんな本である

のかわからないのでありますね。ということは、この本はほとんど読めていな

いということですね。なさけなやです。

 読めても読めなくても本は借りなくては、ますます本を読むことができなく

なりそうですから、とにかく借り続けるのがよろしいのでしょう。

 現在借りている本は、12月初旬までの借り出しとなりますが、せっせと手に

することにしましょう。その昔では考えることもできないことですが、最近は

岩波新書を借りたりです。 

 その一冊は川端康雄さんの「ジョージ・オーウェル」でありまして、昔であれ

ば文句なしに購入するものですが、最近はこのまちで岩波新書を置いているとこ

ろがないものですから、手にすることができなくて、図書館頼みになった次第で

あり。

  「ジョージ・オーウェル」は、1970年代にリバイバルしたのでありますね。

 この時には平凡社鶴見俊輔さんのグループが旗振り役をしたと思います。

川端さんもそうしたグループのお一人でありましょう。

 そのすこし前までのジョージ・オーウェル像について、川端さんはまえがき

で次のように書いています。

「いまでは不思議なことに思えるのだが、昭和時代中期の日本の論壇において、

ジョージ・オーウェルは政治的左翼や進歩的知識人の多くから忌み嫌われてい

た。」

 昭和時代中期という言い方ですので、三分割してその中頃とすれば戦後から

昭和30年代までとすればいいでしょうか。

動物農場」という昨品の紹介のされ方に関係がありました。戦後というか

占領下において翻訳小説というのは、占領軍の覚えめでたいものが刊行され

たのですが、その一冊に「動物農場」があって、それで描かれている世界は、

スターリン支配のソ連を思い起こさせたのでありますね。

 これに親ソ派の人たちが反発をすることになり、反スターリン派の人たちは

これを歓迎したのですね。そう文脈で60年代後半からは「カタロニア讃歌」も

受け入れられることになりました。

 ジョージ・オーウェルがそれだけの人ではないことは、平凡社から刊行され

た著作集や評論集で伺い知ることができるようになっているのですが、ひいき

の引き倒しではありませんが、自分に都合のいいような理解のされ方をしてい

る人であるのかもしれません。

 もちろん、そのことはジョージ・オーウェルのせいではありませんです。 

動物農場: おとぎばなし (岩波文庫)

動物農場: おとぎばなし (岩波文庫)