久しぶりの 2

 映画「パッチギ!」をアマゾンで確認してみましたら、そのレビューがたくさん書か
れているのに驚きました。映画が上映されたのは2004年ですが、メッセージ性の強い
作品として、もっぱらその点が在日朝鮮人寄りとして批判を浴びているようです。
最近の風潮のなかで、これの上映が始まりましたらヘイトスピーチの団体に街宣をし
かけられたかもしれません。
 井筒監督は、もちろんこの作品が物議をかもすことは折り込み済みであるのでしょ
う。この映画を制作をしたのは、今はなくなってしまったシネカノンで、これの代表
李鳳宇(リ・ボンウ)さんでしたが、この方がプロデューサーをつとめたことが、
結果として朝鮮総連の協力を得られることとなったのでしょう。その後、朝鮮総連
たいへんな批判を浴びることとなったのは、ご存知のとおりでありまして、こうした
時代においては、「パッチギ!」のような作品は作るのがたいへん難しくなります。
 つっこみどころ満載の「パッチギ!」ですが、井筒さんの本では、この映画のこと
を、次のようにいっています。
 「いろんなものをぎゅーっと詰め込みましたが、全体を通して言いたかったのは、
在日コリアンと日本人とのあいだには、明確に『対立』がある、というあたり前の
事実でした。
『対立』『差別』があるということをきちっと認めないことには、次の段階に進む
ことはできないでしょう。」
 これに対して「差別」されるのがいやであれば、国にかえればいいではないかと
いう人々がいるのも事実であります。