図書館から借りていた「潮目の予兆」を読んでおりました。
- 作者: 原武史
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2015/08/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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雑誌の「みすず」に連載したものですが、「みすず」は読書アンケート特集号がある
ことから発表されたのは、年の10ヶ月分で、11、12月分はどちらの年も、この単行本
で初めて公開されるものです。
雑誌連載の時に「日記」となっていたものが、「潮目の予兆」というタイトルに
なったのは、原さんのあとがきに説明がありました。この時期に、このタイトルを目
にしましたら、いかにもこの日記が書かれた時期を時代の「潮目」として捉えてい
るというふうに思ってしまいそうですが、これにはもすこし多くの意味が込められて
いるとのことでした。(くわしくは、この本のあとがきを)
原さんの魅力は、東大一直線ではないことでしょう。中高は慶応、大学は早稲田
大学院は東大、学部を卒業して国会図書館職員、日本経済新聞記者を経てから大学院
というのですから、エリート学者さんとはちがいますね。
ここで、原さんの日記から、次の日(2014年2月1日)の一部を引用です。
「二月一日! この日付を見るたびに、いまから三十九年前、1975(昭和50)年二月
一日を思い出さずにはいられない。開成中学校を受験した日のことだ。詳細は『滝山
コミューン1974』で書いたので繰り返さないが、試験開始十分前に手汗をびっしりと
かいた緊張感は、いま思いだしてもぞっとする。・・・
ここで第一志望の中学校に受かるか落ちるかは、その後の人生を大きく左右すること
もまた、まぎれもない事実だといわざるを得ない。
私自身、第一志望の開成中学校に落ち、第二志望の慶応普通部に受かったことが決
定的であった。」
今のようなスタイルの学者さんが出来上がったというのは、開成中に落ちたからと
も思えることで、そうなれば第一志望に落ちるというのもプラスに働いているといえ
のかもしれません。