潮目の予兆 2

 「潮目の予兆」は公開を前提とした「日記」であります。

潮目の予兆――日記2013・4-2015・3

潮目の予兆――日記2013・4-2015・3

 話題は本当に多岐にわたりますので、いろいろな関心で読むことができます。
 執筆では、「群像」に「皇后考」を書きついでいます。ちょうどこの時期に「昭和
天皇実録」が公開されることになって、メディアからコメントを求められています。
大学教材として放送大学用「日本政治思想史」教科書を書いています。2015年4月か
らは、放送大学教授となったとのことです。
講談社「本」に「鉄道ひとつばなし」を連載しています。列車にのって旅行するの
は、この連載の取材か、「皇后考」のためであることが多いようです。
 大学での日々が綴られています。明治学院大学ですが、2013年はサバティカルとい
うことで、一年間は授業を持たないのですが、それでも月に一度はゼミをするために
学校に顔をだし、2014年は通常の業務をこなしていますが、教授会、試験監督といろ
いろなことがあって、大学教授の日々の様子がうかがえます。
 たとえば、次のような記載がありです。
「2014年12月12日(金)
 大学出講日、授業評価のアンケート用紙を配る。文部科学省から指示した通りにし
たがう。この結果は公表されることもない。高橋源一郎はしたがわないそうだ。」
 どうもあまり居心地が良くなかったような感じであります。
 あちこちで講演を行い、シンポジウムに参加し、取材を受けています。
 新聞社の書評委員としてのことが描かれています。2013年は信濃毎日、2014年から
朝日新聞ですが、朝日新聞の書評委員会にはほぼ皆勤といってよいほど参加して
います。
「2014年8月6日(水)
  あいにく積極的に書評したいと思う本が見つからず、私の出稿予定はないのだ
が、他の委員は結構出稿するようだ。当面は紙面が埋まらないこともあるまい。」
という具合ですので、相当に熱心な委員さんです。 
 プライベートな生活についての記述があります。
 どこのラーメンが好みかとか、駅のそばはどこがうまいかもわかります。これが
ためにメタボ検診でひっかかってしまうのですが、それからはラーメンを食したと
いう記録が減少しますので、これは控えているのでしょうか。
 好きなテレビ番組について書かれているのですが、この番組のことはずいぶんと
熱心にみていたようです。
 ご家族についての具体的な記述もありです。原さんの家族関係などが見えてきま
す。
 時局に対するコメントも記されています。量的に多いわけではありませんが、一番
最初となる2013年4月1日に、それがありです。この時点でそれを見ると、見通しが
あたっているので拍手です。こうなってほしくないという悪い見通しはあたるもので
すといわれそうですが。
 当方が、この本を読んで一番驚いたくだりです。
「2013年4月6日(土)
 自宅にこもり、ひたすら原稿を書く。パソコンはメールのやりとりや原稿の修正な
どに使うだけで、原稿自体はいまだにワープロ専用機で書いている。」
 「皇后考」の原稿は、この「ワープロ専用機」で作成し、プリントしたものとフ
ロッピーを編集者にわたすとあります。この時代にフロッピーで入稿とは。どこか
に、この専用機はシャープ書院かなと思う記載があったように記憶するのですが、
これは勘違いであるかもしれません。
 ここまで「ワープロ専用機」を使うと言うことは、これでなくては言葉がうまく
でてこないということでしょうか。故障したときのためにスペア機を確保してある
のかもしれませんが、健筆ならぬ、ワープロが快調に動作することを祈らずにはいら
れません。