連日片付けを 2

 昨日にスキャナー読み込みをして表紙をかかげた「文學界」昭和23年4月号からの
話題です。
 実物の表紙は、あの時代の紙でありますし、保存状態も良くないこともあって、
すっかりくすんでいたのですが、あまりきれいには見えなかったのですが、画像で
取り込むときに褪色処理をしたこともあって、ずいぶんとくっきりとした色合いに
なりました。

 さてさて、この表紙はと思い目次をみますとそこに名前がのっていました。

 写真では判別できるかどうかわかりませんが、一番右に次のようにありです。
「 表紙・扉・目次・カット    青山二郎  」
 初期の「文學界」のデザインを青山二郎さんがやっていたというのは、知ってい
る人は知っているのですが、小生はそのことが頭に入っていなくて、改めて驚いた
のです。
 表紙は一番上の写真で、目次は二番目のもの、カットとあるのは目次の上にある
もののようです。薄い雑誌で、総ページ数は58ページですが、他にはカットはまっ
たくありません。
 それじゃ扉はというと、次のものです。

 これが青山二郎の仕事でありますか。
「青山さんの家には、墨と筆の極上のものがたくさんある。誰でも知ってゐること
であるが、青山さんは生涯の間に、雑誌の表紙や本の装幀を、数多く手掛けた。
青山さんの仕事の中では、これが目立つ。さう言う装幀の画を描くためにも、この
墨と筆が必要であるが、もう一つ、原稿を書くときにも、この墨と筆で書く。青山
さんの年代の人としては古風な習慣である。」
 このように書いているのは、宇野千代さんで「青山二郎の話」のなかにありまし
た。上に引用したちょっとあとのページには、「誰でも知ってゐることであるが、
青山さんはながい間、文藝春秋社刊行の『文学界』の表紙を描いてゐた。」とも
あるのですが、青山二郎さんの仕事は、現在では「誰でも知ってゐることで」とは
ならないようです。

青山二郎の話 (中公文庫)

青山二郎の話 (中公文庫)

 もちろん、「青山二郎の話」のカバー絵をかいているのは、青山二郎さんです。