新生活のスタート

 当方が新生活にはいった頃にはやっていた歌は、財津和夫さんのもので、時計のCM
でも使われていました。あれがはやったのは、ちょうど就職したころであったよなと
思って検索をかけてみましたら、就職してから5年もたっていました。
 40年近くも前の話であります。あの時代には新生活へのスタートいうと腕時計で
あったのですね。当方は学生時代には腕時計をするという習慣がなくて、仕事に就く
ために引っ越した街で、3月30日に腕時計を購入したという記憶がありです。この
記憶と、その数年後に放送されていた時計の広告、そしてそれに使われていた財津
さんの曲が当方のなかで一つになってしまったものでしょう。

 この時代に就職するからといって腕時計を買うなんて人は、どのくらいいるで
しょうか。就職するのを機にブランドものの高額な時計を購入なんてのはあるのかも
しれませんが。
 本日に手にしていたのは、後藤明生さんの「この人を見よ」であります。
ずいぶん前から手にしているのですが、しばらくページがすすんでいませんでした。

この人を見よ

この人を見よ

この作品とか、これと併読している金井美恵子さんの「お勝手太平記」を手にします
谷崎潤一郎作品が読みたくなります。
お勝手太平記

お勝手太平記

 手近にちくま文庫版「ちくま日本文学」の「谷崎潤一郎集」があって、これの「春琴
抄」の何ページかを読んでいましたら、これは一気に読んでしまおうとのことで、
中央公論社からでた「新書版全集第19巻」を引っ張りだしてきました。
 なんとこれって昨年から今年にかけての年末年始読書計画と同じではありませんか。
( http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20141210 )
 本日は、なんとか「春琴抄」を居眠りしながら読了です。
この新書版全集第19巻には、ちくま文庫版「谷崎潤一郎集」の解説で、杉本秀太郎さん
が、谷崎の傑作としている「吉野葛」「蘆刈」「盲目物語」「春琴抄」の四作品が
一冊に収録されています。当面は、この集が座右におかれることとなりそうです。
春琴抄」を読んでいて目にとまったところ、といってもこれは書き出しにあるくだり
でありました。
「春琴、ほんとうの名は鵙屋琴、大阪道修町薬種商の生まれで没年は明治十九年十月
十四日、墓は市内下寺町の浄土宗の某寺にある。・・・知ってのとおり下寺町の東側の
うしろには生国魂神社のある高台が聳えているので今いう急な坂路は寺の境内からその
高台へつづく斜面なのであるが、そこには大阪にはちょっと珍しい樹木の茂った場所で
あって琴女の墓はその斜面の中腹を平らにしたささやかな空地に建っていた。」 
 下寺町というあたりを散策したことがありました。四天王寺からつづくお寺の密集地
でありまして、お寺巡りをしているときに、この高台につづく夕陽丘学園にそった坂道
を歩いておりました。あのあたりに「春琴」さんのお墓はあることになっているのかと
思いましたです。