本の雑誌 4月号 2

 「本の雑誌」4月号の秋葉直哉さんの文章を話題としています。
 昨日に引用した部分にあった「こどもに本を読み聞かせる母親」というのは、岩阪
恵子さんのことであります。
 秋葉さんの文章では、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をキーワードとして、岩阪さんの
詩集「ジョヴァンニ」へとつながっていきます。入手困難な詩集なのでありましょう。
秋葉さんは、1968年に文童社からでた「ジョヴァンニ」を手にしたことがないと記して
います。文童社は、戦前から京都にある詩書などをだしている版元で、天野忠さんの
「クラスト氏のいんきな唄 」を刊行したことでも知られていますが、関西の古本者に
は、文童社の詩集とはなじみの深いものなのでしょう。
 秋葉さんは岩阪さんの詩と古書として入手した「ユリイカ」70年7月号で接すること
ができたのだそうです。この「ユリイカ」には、「ジョヴァンニ」と題された数篇の
詩が掲載されていたのだそうです。
 文童社から詩集「ジョヴァンニ」を自費出版して、2年後に再び、同じタイトルでの
詩作となります。ちょうど、この70年は岩阪さんが、清岡卓行さんと結婚した年であり
まして、数年を経て、同じタイトルの詩を発表したというところに、「人生における
ひとつの大きな節目」の影響を、秋葉さんはいっています。
 そして、最近の岩阪さんに、秋葉さんの文章は続いていきます。
「四十七年前、詩を書いた少女はいま、緑溢れる公園と穏やかな湖のある東京郊外に
暮らしている。三年前に自身で刊行した『緑陰だより』には、植物と昆虫とともに
過ごす日々が綴られている。およそ半世紀前に書かれた一篇の詩を見つけたことが
契機となってこの随筆集を読み返し、心を打たれた。」
 当方は岩阪さんに関心をもっていましたので、この「緑陰だより」のことは承知して
おりましたが、これを購入するにはいたらずでありました。なんとなく、ご本人の
手を煩わせて購入するというのがためらわれたためです。
http://iwasakakeiko.blogspot.jp/
 そういえば、一昨年に刊行された「ぽかん」四号に岩阪さんは文章を寄せていたの
ではなかったでしょうか。