ショックな話 2

 昨日にショックな話として、美術出版社の倒産を話題としましたが、それより前に
ショックな話と思いましたのは、3月4日付け朝日新聞にありました「文系学部で何を
教える」というページであります。
 著名な経営コンサルタントである冨山和彦さんが、「実社会に通じる教育こそ重要」
という見出しで、次のように語っています。
「日本経済は、大きく二つの世界に分かれてしまいました。本当に世界のトップを相手
に闘う自動車、電機、ITなど大企業中心のグローバル経済圏と、交通や飲食、福祉
など地域に根ざした中小中堅のローカル経済圏とに。
 大学進学率が5割を超え、大学が大衆化したいま、卒業生の大半がすすむのはサービ
ス産業を中心としたローカルの世界。ところが、その生産性は欧米諸国に比べて相当に
低い。急激な人口減で労働力も人材も不足しています。今後、ローカル経済圏の生産性
をいかにして高めていくかが、日本の未来を考える上でとても重要です。
 だからこそ学生には、職業人として必要なスキル、実践力を大学で身につけてほし
い。学術的な教養にこだわる従来の文系学部のほとんどは、ローカル大学にはもはや
不要です。何の役にも立ちません。・・・そもそも日本には文系学部が多すぎる。」
 議論をしかけるときには、すこし極端なほうが話はかみ合わなくてよろしいのかも
しれませんが、まあそれにしても、おまえたちはどっちにしてもうだつがあがらない
のだから、気取って教養なんてことをいわんと、企業社会で生き残れるようにしては
どうかというありがたいご託宣であります。
 いまの大学の文系学部が、先日の大阪文学学校のように学びの場であるかどうかに
ついては、疑問があるものの、それでも人として生きていくためには、学術的な教養
も必要ですし、何よりも社会のバランスをとるためには、競争至上主義(または成果
主義)のような風潮に対して疑問を言い続けていかなくてはいけないのでしょう。
 上に引用したところだけを抜き出しましたら、全体をよんで意をくんでほしいと
いわれるのでありますが、「大学の先生は、もっと現実社会をよく見るべきです。」
とありますと、これはこれでへんに納得することで、このことをいうために、あえて
極端な意見をいっているようにも思えることです。