「本の雑誌」に掲載の穂村弘さんのエッセイにある「薄い文庫本」に反応しています。
岩波で厚い文庫本といえば、なんでしょう。最近であればプルーストの小説には
厚いものがありましたですね。購入はしていませんが、野間宏さんの「青年の環」の
第五巻は、そうとうに厚かったはずです。その昔の製本術では、このように厚いもの
はできませんでしたから、こういう分厚い一冊ができるようになったのは技術の進歩
のおかげといえるでしょう。
薄い文庫本といえば、岩波にはたくさんあったことが、かっての岩波文庫「100冊
の本」に21冊も選書されていることからもうかがえることです。
ここに選ばれている本は、今も薄いままで品切れもせずにいるのでしょうか。
「100冊の本」に選ばれたもので、赤帯ジャンルで、★一つというと、次のような
ものでありました。
荒野の呼び声 ジャック・ロンドン
トニオ・クレエゲル トーマス・マン
田園交響楽 アンドレ・ジイド
桜の園 チェーホフ
タルチュフ モリエール
このへんは、当時の学生にとっての必読書ということになるのでしょう。当方も
薄さにつられてもとめました。これで気に入れば、ほかもよまれたいということに
なりますが、モリエールのものなど、どれもこれも薄かったように思います。
今は物置の文庫棚にならんでいるはずでありますが、これらの薄い文庫が品切れに
なりましたら、復刊は難しく、次にでるとすれば、いくつかの作品が抱き合わせと
なるのでしょうか。
ちなみに岩波のページをみましたら、2012年の文庫売り上げランキングがでている
のですが、売り上げ上位のうち、次の三冊が、昔でいえば★一つでした。
1. ソクラテスの弁明・クリトン 1,628,000部
7. 共産党宣言 1,271,000部
9. 歎異抄 1,200,000部